いわの美術では この度マイセン社製『スプーンを持つ天使』をお買取り致しました。
300年を有に越す歴史があり、世界中のコレクターを今もなお魅了するマイセンが誇る磁器の素晴らしさは語らずともよく知られています。今回ご紹介させていただくこちらのお品物は、マイセンファンならずともその愛くるしい姿に思わず目が留まる天使のフィギュリンです。
小型の動物や人形などにかたどられた陶磁器のことを指し、マイセンと聞くと繊細な絵柄が施されたディナーセットや可憐な持ち手のデザインのカップ&ソーサーなど高級食器ブランドとしてのイメージを思い描きがちですが、実はこのフィギュリンも根強い人気のある分野なのです。
17世紀に入りヨーロッパに中国からの磁器が徐々に輸入されるようになると、それまで馴染みのない艶やかな磁肌と手に馴染みやすく軽く仕上げられた陶磁器に貴族や王族などがこぞって注目するようになります。瞬く間にそれらは高級品として珍重されるようになり、富裕層の間でステータスシンボルとして磁器のコレクションがブームになります。そのことに目を付けたアウグスト強王は錬金術師ベドガーや、絵師のヘロルト、造形家のケンドラーなどを招き入れてドイツでも東洋磁器に匹敵するような白く軽やかな硬質磁器の製法を研究させます。そして職人たちが大変な労力と時間を費やし、ついにマイセンの地で西洋磁器の焼成を成功させるに至るのです。
なかでもこのケンドラーは稀に見る天才造形家と賞賛され、数々の動物やロココ調の人形のフィギュリンの造形を手掛け、今日の発展に至るまで300年以上に渡るマイセンの歴史の変遷を語るうえで欠かせない人物として知られています。
当時の優雅な宮廷生活をうかがい知ることができるフィギュリンですが、特筆すべき魅力は、まるで今にも動き出しそうな一瞬を捉えた姿と艶のある透き通るような肌感に色彩豊かに彩られた愛くるしい表情だと言えます。それらを兼ね揃えた作品は今でも当時のままの原型が使われ、例えば髪の毛一本一本の細部に至るまで熟練した職人たちが手仕事を施した芸術品です。手にすると、思わず作り手にまで思いを馳せてみたくなる繊細さで、今でも変わらぬ人気を保ち続けるのが納得できます。また作り手や時代によっても少しずつ色使いや表情が違うところがあり、ファンのとっては自分好みの逸品と出合う楽しみもあります。
いわの美術ではマイセンの陶器をお買取りさせて頂いております。豊富な知識を持った専門家が無料で事前査定を行いますので、ご不用になった陶磁器をお持ちの場合は、是非いわの美術までご連絡ください。LINEやホームページに写真をお送りいただくだけでスムーズに査定を承ることができます。皆様からのご連絡をスタッフ一同お待ちしております。