今回、いわの美術がお買取りしたお品物はセーブルのカップ&ソーサーです。
セーブルはフランスの王立製陶所として、フランス国家で使用するための陶磁器作りを行っており、基本的には一般的には販売される事がございません。
セーブルの歴史は、1756年にポンパドゥール夫人が中国や日本、そしてドイツのマイセンに負けないような素晴らしい陶磁器の製作をフランスでも行いたいと考え、1738年に民間で創設されたヴァンセンヌ窯をポンパドゥール夫人の館の近くのセーブルという町に写し、1759年にフランス王立製陶所として生まれました。
当初は陶磁器作りに必要なカオリンが無かったため、磁器を模して作った軟磁器と呼ばれるものでした。
ドイツのマイセンがカオリンを発見し、陶磁器を作る事に成功したのをきっかけにフランスもカオリンを探し、リモージュの近くで発見し、セーブルに運んで陶磁器作りを始めました。
それから現在までにセーブルは国立のまま製造量も決まっており、生産量は年間わずか6000ピース程で、そのうちカップ&ソーサーなどのサービスウェアは2000~3000ピースしか生産されていません。
セーブルでは、王立窯としてコスト管理よりも誰も真似できない最高の作品を作り出す事に尽力しており、その職人の数は100人ほどで、特に金彩文様に関しては他の洋食器とは比べものになりません。
今回、お買取りしたセーブルのカップ&ソーサーは、セーブルの中でも代表的な色「アガサ・ブルー」で「リトロン」と呼ばれる筒型のシェイプで、化粧箱付でお買取りをさせて頂きました。
これはティーポットの容量が1リットルだった事から命名されたそうです。
この筒型のカップは、セーブルが一番初めに発表したシェイプで1700年代から続く伝統的なシェイプです。
セーブルでは、焼成温度や時間、窯の配置よって作品に微妙な影響が出るため、毎回同じような発色が出来ず、カップ&ソーサーなどのサービスセットは必ず同時に焼成されるそうです。
この方法は少量生産のセーブルだからこそできるこだわりだと思います。