今回、いわの美術がお買取したお品物はヘレンドのカップ&ソーサーでインドの華というシリーズです。
ヘレンドはハンガリーにある陶磁器の名窯で、ハンガリーがオーストリアの統治下にあった頃、マリア・テレジアが育成したウィーン窯の閉鎖に伴い、ウィーン窯のデザインを継承することになりました。
こうして、ヘレンドは宮廷のテーブルウェアを制作し、一躍ヨーロッパの名窯として認識されるようになりました。
現在のヘレンドの工場は国営となり、厳しい条件をクリアしたマスターペインターの称号を持つ絵付師たちによって芸術品といっても過言ではない陶磁器たちが生み出されています。
今回お買取りしたインドの華というシリーズは日本の有田焼の名窯・酒井田柿右衛門の写しをヘレンド風にアレンジしたものです。
インドの華という名称は、当時の東洋の輸入品はすべて東インド会社の帆船が運んでいたため、インドという名称が付けられたのだそうです。
グリーン一色で見事に描き上げたシノワズリ(東洋趣味)は実に見事で、これらは全てヘレンドの職人による手作業で行われています。
その中でも絵付けに関しては厳しい基準が設けられており、ヘレンドの厳しい審査を受け合格した者だけが「マスターペインター」の称号を使用する事が許され、制作に携わった作品には自分のサインをする事が許され、マスターシリーズと呼ばれています。
また、バックスタンプに記載されている番号はシェイプナンバー(形・用途)、アルファベットはシリーズ名を表しています。
そのため、ヘレンドでは同じものを探している時にはこのナンバーを使って探すと簡単に見つける事ができます。
今回、お買取りしたヘレンドのカップ&ソーサー・インドの華は別名ヘレンドグリーンとも呼ばれるヘレンドの代表作で、グリーン以外にもアポニーターコイズ、イエロー、オレンジ、ピンク、ライラック、ブルー、マロン、ブラック、多彩と色違いが作られています。
グリーンのインドの華はナポレオン3世の妃ウージェニのお気に入りであった事は有名で、今でも根強い人気を誇っています。
多少のスレ、傷はございましたが、金彩や絵付けにはまったく問題がありませんでしたので、6客揃っての評価で買取を行いました。