今回、いわの美術がお買取したお品物は小寺健吉の油彩画「壷のばら」です。
タイトル通り、赤、黄、ピンク、白の色鮮やかなバラが壷に活けられている静物画で、キャンバスの裏には小寺健吉自身によるサインとタイトルが書かれています。
絵具の剥がれや色褪せなどがなく、保存状態が良かった事から1点でも十分に評価できるお品物でした。
額装されている油彩画は剥き出しのままよりも劣化しにくく、売却時に高い評価で買取ってもらえる確率が高くなり、中には額装に共シールと呼ばれる保証書のような役割を持つシールが貼られている事もありますので、安易に処分しない事が高価買取へと繋がります。
さて、この作品の作者である小寺健吉ですが、90歳と長生きで晩年まで精力的に作品制作に取り組んでいました。
画家を志して東京美術学校西洋画科で長原孝太郎、小林万吾、和田英作、黒田清輝から指導を受け、卒業後は光風会や文展、帝展などで数多くの受賞を重ねるなど活躍を見せました。
初期の頃は後期印象派のような装飾性の強い作風を見せていましたが、徐々に写生画へと移行していき、温穏やかな作風に人気が集まります。
特に風景画においては木々の瑞々しさを十分に表現しており、山中湖や富士山をモチーフにした作品が多く見られます。
すでにこの世を去っている画家ですので新しい作品が発表される事はなく、中古市場でも高値で取引される事の多い作家として知られています。