今回、いわの美術でお買取りいたしました、こちらの作品は、
日本の写実絵画を牽引してきた野田弘志の銅版画作品です。
単純に緻密に描くのではなくて、作品に存在感を存分に描き出すことで
『本物の美とは何か…』を常に追求する画は、見る側に神秘的な印象を抱かせます。
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【野田弘志プロフィール】
東京藝術大学へ入学後、藝大のゼミに籍を置いた野田弘志は、小磯良平と出会い、
師弟関係となります。
洋画家として早くも頭角をあらわし、在学中の1960年に、白日会展で初入選し、
白日賞を受賞。
卒業後は、広告代理店でイラストレーターとして職につくかたわらで、白日展、安井賞展
などで作品の発表を続けました。
それ以降、1970年からは画家として制作活動に本格的に専念し、1983年~1985年に
かけて、朝日新聞に連載されていた小説『加賀乙彦著/湿原』の挿画を担当したことに
より、画業として広く関心を集めるようなります。
小説が完結する1985年までの間に、実に628点もの作品を描き上げました。
1995年~2005年の10年間、広島市立大学芸術学部教授として、後進の指導育成に
ついた後、2018年に上皇天皇・皇后両陛下の肖像画を制作し宮内庁に奉納したことも
記憶に新しいところです。
現在は北海道に構えるアトリエを拠点にし、
写実絵画の第一人者として驚異的なデッサン力と、対象物の本質に迫る鋭い描写力で、
風景画や緻密な静物画、人物画など作品の制作を続けています。
《代表作》
・裸婦習作(1955年頃)
・やませみ(1971年)
・黒い風景 其の参(1973年)
・湿原(1983年~ 1985年)
・TOKIJIKU(非時)XII Wing(1993年)
・THE-9(2003年 - 2004年)etc…