写真のお品物は以前お買取りさせて頂きましたリトグラフです。
作者のジョルジョ・デ・キリコはイタリアの画家であり、彫刻家でもありました。
イタリア人の両親のもと、ギリシアのテッサリアで生まれ、わずか8歳でデッサンを学びます。幼いころより画家を志し、はじめは静物画を描いていました。
1910年頃より形而上絵画派と呼ばれる、どこか静謐さ、謎めいた雰囲気や不安感を醸し出す作品を制作し、後のシュルレアリスム(超現実主義)に影響を与えています。
彼は生涯に何度も引っ越しを行っており、ギリシア、ミラノ、フィレンツェ、パリ、ニューヨーク、ローマと転々と移住を繰り返しています。
日本ではシュルレアリスム系の画家としてサルバドール・ダリと並んで人気の高い画家で、抽象画家の吉原治良や、洋画家の難波田龍起の初期の作品にも影響を与えていました。
今回お買取りした作品に描かれているのは二頭の馬です。絵画の右側に波が見えることで、海辺や浜辺にいるのだと分かります。
彼の作品ではどこかで見た風景といわれる作品や、顔のないマネキンが中心となった作品がよく知られていますが、一時期この作品のように古典的絵画を描いていた時代もありました。