今回、いわの美術がお買取りしたお品物は平山郁夫のリトグラフ「法隆寺」です。
平山郁夫は東山魁夷、岡本太郎と並び日本で最も高名な画家として知られており、政治家や皇室とも密接な関係を築き、画家の地位のみならず、政治の世界にも発言力を持っているという画家としては珍しい存在でした。
そんな平山郁夫は被爆者で、原爆後遺症で白血球が減少してしまい、死を覚悟した時期がありました。
その頃にテーマとして選んだのが玄奘三蔵(三蔵法師)で、描き上げた作品が「仏教伝来」でした。
この「仏教伝来」は院展で入賞を果たす事ができた作品で、この作品を発表してから、自分の人生を変えた日本の文化の始まりでもある仏教の伝来の道をたどる事を目的としたシルクロードを通って、様々な場所を旅するようになりました。
その経験を経て描かれた作品は、平山郁夫の代名詞と言える砂漠とラクダなどオリエンタルなモチーフで描いた作品を次々と発表していきました。
こうして、仏教と深い繋がりを持つようになった平山郁夫は、奈良・薬師寺玄奘三蔵院の壁画の制作や法隆寺金堂壁画の模写、高松塚古墳壁画の模写に携わりました。
今回、お買取りした平山郁夫のリトグラフは法隆寺を下から見上げて描かれた構図で、法隆寺は7世紀に建てられた古代寺院ですので、平山郁夫のモチーフにぴったりなものでした。
限定100部というリトグラフにしては少ない発行枚数でしたので、買取額が高くなりました。
また共シール付で、とても良い状態でお買取りをさせて頂きました。