今回、いわの美術がお買取りしたお品物は、辻真砂の鉛筆画です。
辻真砂は大阪府出身の洋画家で、スペイン留学を経て、どこにも所属する事なく個展を中心に活動を続けている画家です。
独自に写実の技法を磨き、精密な写実技法のもと、叙情性や物語性を感じる抽象性を持った写実を追求する絵画を制作しており、女性や風景画を中心に多くの作品を制作しています。
また、1989年には真砂美塾を創設し、プロフェッショナルな世界に到達するための「心」と「技」を鍛える徒弟制の個別指導を行っています。
今回、お買取りした辻真砂の「風笛」という作品はそのタイトル通り、描かれているモデルの仕草から背景は何も描かれていないのに、「風」を感じ取る事が出来ます。
また、抽象性の観点から見てみると、背景が無い事がこの作品の本当の意味を理解する事ができるのかもしれません。
鉛筆1つで描かれたとは思えないほど、濃淡だけで見事に描きあげた作品は、さすがは辻真砂といった所でしょうか。
作品に使われている紙には経年の劣化による変色が見られましたが、大切に保管されていたため、比較的綺麗な状態でお譲り頂きました。
作品向かって右下には辻真砂のサインが記されています。
辻真砂は、鉛筆画以外にも豊かな色彩で描いた油彩画も写真にも負けない写実的な作風で、人気があります。