志村立美 美人画 今回、いわの美術がお買取りしたお品物は、志村立美の美人画です。
志村立美が美人画を描くようになったのは晩年になってからで、それまでは挿絵や雑誌口絵で活躍し、岩田専太郎と並ぶ挿絵画家として人気画家としてとても有名です。
志村立美は山川秀峰に入門し、美人画を学び、師が挿絵画家として活躍していた事から推薦を受け、挿絵の活動を始めました。
その後、『丹下左膳』の挿絵で一世を風靡し、大衆娯楽の挿絵の重鎮として、当時は志村立美の名前を知らない人はいないほど有名でした。
志村立美の描く美人画は、伏し目がちな切れ長の目に透き通るような白い肌が特徴の、一瞬の動きを捉えた今にも動き出しそうで思わず見とれてしまう美しさを感じられものが多いような気がします。
また、髪の毛やまつげ、着物の柄、簪の装飾など一切手を抜かずに精緻に描かれた作品は女性の粋で凛とした姿を艶やかかつ華やかに描いており、他の美人画作家と比べると動きを感じる事ができます。
今回、お買取りした志村立美の美人画は貴重な肉筆画で、女性の着物は薄物という透け感のある夏に着用する着物である事が分かります。
描かれている雰囲気から絽の着物ではないかと思われますが、この着物の描き方によって画面からは涼しさも感じ取れる素晴らしい作品でした。
額の裏は破損がひどかったのですが、作品自体はとても綺麗な状態でしたので、貴重な志村立美の美人画という事で高価買取とさせて頂きました。