今回、いわの美術がお買取りしたお品物は野見山暁治(のみやまぎょうじ)の油彩画「伊太利シシリー島の街」です。
野見山暁治は、福岡県で生まれた洋画家で、90歳を超える高齢となった今でもその創作意欲は衰えず、情緒的や文学的になってきたら自分の絵にはならないと近年の作品はますます抽象化が進み、色と形に還元するようにつとめているそうです。
野見山暁治は美術学校在学中に戦争によって召集を受け、繰り上げ卒業となり、満州へと向かう事になりました。 この時、病に倒れ、生死の境をさまよった事もあるそうです。
戦争が終わりフランスへ渡り、12年間の制作活動は野見山の芸術性と精神性に大きな影響を与えました。
精神性に大きく影響した出来事は、夫人が病によって倒れ、亡くなってしまった事が大きく影響しているようです。
この時、絵筆を握る事も出来なくなるほど憔悴しきってしまい、知人をたよってパリ郊外に移り住んだ後もすぐには画家として復帰できませんでした。
しかし、アトリエから見えるライ・レ・ローズの丘を眺めそして描くうちにこれまでとは違った作風を見出し、現在の野見山暁治の礎となったようです。
今回、お買取りした作品はフランス在住の時に描いた作品で、イタリアのシシリー島の街並みを描いたものです。
この頃の作品はまだ今ほどの抽象性は見られずませんが、簡略化された街並みは時が止まっているかのようにも見えます。
貴重な野見山暁治の初期の頃の作品という事、キャンバスの裏に作者直筆のサインと作品タイトルが書かれていた事、保存状態が良かった事が高価買取へと繋がりました。
油彩画は保管場所が悪いと絵の具が剥がれてしまったり、ひび割れを起こしてしまう事がございます。
こうなった油彩画は評価が下がってしまいますので、後にご売却をお考えの油彩画がございましたら、保管場所にも注意が必要です。