今回、いわの美術がお買取りしたお品物は、小野末(おの すえ)の油彩画です。
小野末は新潟県出身で、安井曽太郎に師事し、一水会で活躍した日本を代表する洋画家の一人です。
小野末は、堅牢な絵肌と象徴的な画風で主に寺院や静物など描くことを得意としています。小野末の作品は、水彩画のようなにじみのある画風を特徴としていますが、絵画に世界に幅を広げるためにヨーロッパに留学し、エジプト・ギリシャ・メキシコなど訪問したことも彼の画風に影響を与えたといわれています。
小野末の代表作としては「街の景色」「市街展」など、岩山であったり、砂漠など壮大なテーマで描かれた重厚な作品が多く、また有名な作品の一つに「アクロポリスの丘」があります。
今回買取の小野末の油彩画は裏面には、「シャルトル風景」とあり、ノートルダム大聖堂で有名なフランスのシャルトル地方の教会が描かれた作品とみられます。
この小野末の油彩画は、堅牢なマチエールでしっかりとした存在感のある作品です。褐色でまとめられたその作品は一見、哀愁を漂わせますがどこか幻想的です。小野末の作品は、色彩バランスが素晴らしく、見る者の視線を離さない独特の力強さも感じることができます。
風景画や様々な寺院など歴史建造物を主に描いていた小野末ですが、中には珍しい人形をモチーフに描いた作品や牡丹など植物を描いた作品も残しています。小野末の作品はどれも優れた色彩感覚にあふれた独特の重厚さがあり、日本洋画界のトップであり続けた小野末は美術界で永遠に語り継がれる存在です。
小野末は1982年に「砂漠の歌」で芸術選奨文部大臣賞という画家としては最高の栄誉といっても過言ではない賞を受けています。
今回買取の小野末の油彩画は、会社の応接間に飾られていたということで、残念なことに額装部分に傷や剥がれが見られました。小野末という人気作家の作品ということで出来るだけお客様のご満足頂ける査定額を提示させていただき、買取させていただきました。
人気作家の作品は、需要と供給によって買取額が変化しますので、数年後にはどうなるか分かりません。
シミや汚れが発生してしまうと高価だったお品物の価値が下がってしまうことがございます。ご売却をお考えでしたら、是非一度いわの美術までご相談ください。