今回お譲り頂いた写真の作品は、林正太郎作 『絵志野湯呑』です。
志野を代表する名工の一人であり、岐阜県重要無形文化財に認定されています。
-桃山時代、茶の文化とともに華やかに開花した美濃焼の世界-
美濃焼の伝統的な技法を研究しつづけ、桃山時代の志野再現だけに留らず、現代の原材料や、
燃料に工夫と改良を重ね、創造性溢れる志野を作陶し続けています。
本作品は、その技法を余すことなく発揮された湯呑茶碗で、力強い造形のなかに浅緋色の発色
が、とても品良く茶の湯茶碗として不足ない作品と言ってもよいのではないでしょうか。
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≪林正太郎 略歴≫
林正太郎は、1947年(昭和22年)岐阜県土岐市で窯元の子として生まれます。
幼少の頃より陶芸の世界を間近で見る環境に育ったものの、最初は焼き物に興味がなく、
高校を卒業をした後、名古屋で普通に就職をしました。
後々、名古屋でのサラリーマン生活を辞め、郷土の土岐へと戻り、兄の陶芸活動を手伝い
始めます。その傍らで自分も作品作りに力を入れ、多くの作品を手掛けるようになりました。
独特の個性を光らせ、オリジナリティを存分に発揮した作品は、瞬く間に評価され、
『岐阜県美術展』で最高賞を受賞、そのわずか3年後の24歳の時に、今度は『朝日陶芸展』
で知事賞を受賞し、それ以後も連続で4回の入賞を果たしています。
現在も茶碗・壷・銘々皿など多種多様の作品を制作し
志野を中心に絵志野・赤志野・鼠志野なども作陶しており、今後の活躍がまだまだ期待されます。