今回いわの美術では佐伯守美の象嵌樹林文花瓶をお買取り致しました。
木彫作品を主に手掛ける彫刻家、佐伯留守夫の長男として1946年栃木県宇都宮市に生まれます。
父の仕事姿を見てきた佐伯守美は、物作りの職人になるため武蔵野美術大学のデザイン科に入学するも中退、その後東京芸術大学工芸科に入学します。
大学では象嵌を学んでいて、卒業制作には象嵌壷を13点作ったそうです。
大学で工芸の技術や知識を学んだ佐伯守美は、26歳で第15回伝統工芸新作展に「焼〆象嵌線文壺」を出品して初入選を果たしました。
翌年には国際陶芸展と第23回日本伝統工芸展に作品を出品し入選、1977年株式会社塙陶苑へ入社します。
31歳で日本工芸会正会員となった佐伯守美は、翌年株式会社塙陶苑を退職し、独立して栃木県の芳賀町給部に窯を作り作品制作を始めます。
その後38歳から14年間東京芸術大学の非常勤講師として勤めながら作品制作活動も行い、展覧会での受賞も果たしました。
以降展覧会への出品や審査委員としての出席、個展、作品の寄贈など多くの功績を残されました。
現在でも作品制作を続けながら後世の育成など幅広く活躍されております。
象嵌技法
佐伯守美が大学時代から得意としている技法が象嵌技法と呼ばれるものです。
多くの陶磁器は絵を描いたり、釉薬で色を付けたりなどが一般的ですが、象嵌技法とは器を作った土とは異なる土をはめ込んで模様を描きます。
作り方は、生乾き状態の器に下書きをしてそれに沿って削っていき、その部分に色の違う土をかぶせていきます。
その後器と象嵌部分が変形しない程度に押し密着させ剥がれの原因となる空気を抜き、少し乾いてきたところで模様がハッキリと浮き出るように薄く削れば完成です。
通常の象嵌はこのような手順で作り上げますが、佐伯守美は一番最初に行う下書きを行わず、自分の頭の中に浮かんだ風景を直接彫っているそうです。
また、佐伯守美は象嵌以外にも練り込みと釉彩という技法も用いて作品制作を行っています。
この3つの技法が合わさる事で柔らかくて暖かみのある絵画のような作品が出来上がります。
佐伯守美 象嵌樹林文花瓶
今回いわの美術がお買取りしましたのは、佐伯守美の象嵌樹林文花瓶です。
象嵌、練り込みと釉彩で作られたこちらの作品は、柔らかで樹林が繊細に描かれている美しい作品となっております。
佐伯守美が作る作品には樹林や欅のデザインが多く、理由は自宅周辺に欅の林があった事が原点だそうです。
こちらのお品物は陶芸作品をコレクションされている方からお譲り頂きました。
また、こちらの作品以外にも、古い蔵の片付けで出てきたお品物をお買取り致しました。
弊社いわの美術では、佐伯守美の作品をお買取りしております。
コレクションの整理や事務所の移転、お引越しでご処分をお考えの佐伯守美の作品がございましたら弊社いわの美術までお問い合わせ下さい。
また佐伯守美の作品以外でも様々な作品をお買取りしております。
古九谷・古伊万里・中国美術・古文書・巻物・掛軸・日本刀・茶道具・絵画など
特に、中国の古い古美術品はお品物によって高価買取の可能性もございます。
ご売却お考えのお品物がございましたらお気軽にいわの美術までお問い合わせ下さい。