漆芸家として活躍している前田清峰は、曽又真山の元で7年間修行に励み、また輪島市蒔絵組合が開催した新作展で自身の出した作品が新人賞を受賞するという功績を残しています。
輪島市蒔絵組合が開催した新作展での受賞を皮切りに、数多くの個展を開き作品も作り続けました。
独立後も師である曽又真山から受け継いだ技術で茶器を中心に蒔絵作品を製作しています。
繊細で細やかな蒔絵を描く前田清峰の技術力は、師の曽又真山の作品にも引けを取らない程とても美しい作品を作り続けています。
今回いわの美術がお買取りしましたのは、前田清峰の溜塗 秋の夜蒔絵 大棗という作品です。
溜塗とは、下地を塗った上から透明な漆を塗って仕上げる技法の事です。
ですが、実際は完全に透明な漆ではなく少し茶色がかった色なので、上からかけると下地のハッキリとした色がぼんやりとした色に変化して柔らかい印象に仕上がります。
今回お買取りした作品にも最後の仕上げに溜塗の技法が施されていました。
朱色の漆を塗った上から黒の漆で葉や松の絵を描き、その上から金粉を振りかけるのですが、その際黒で描いた絵が引き立つよう金粉を慎重に振りかけます。
棗の表面と蓋の表面に黒で松や葉を描き金粉をのせ、蓋の裏側には黒の漆を塗りその上から金彩で月とすすきを描き、最後棗の表面に溜塗の技法を施してこちらの作品が完成となります。
作品の題名が秋の夜蒔絵となっていますが、題名通り秋の夜に月が草木を照らしているようなとても美しい作品に仕上がっています。
中野孝一・角偉三郎・鶴田明子・佐治賢使・大西忠夫・小島雄四郎・中尾喜久二
山崎覚太郎・松田良輝・三谷吾一・三谷龍二・服部峻昇・音丸耕堂・石井勇助などなど