今回ご紹介するのは、いわの美術でお買取りさせていただいた竹工芸作家の武関 翠篁(ぶせき すいこう)氏による花篭『銘・穂波』です。コレクター様からお譲り頂いた商品で共箱に経年劣化によるシミ汚れが認められましたが、お品物は非常に良い状態で保管されていた為この度お取引させて頂きました。
竹の硬く強い材質で しなやかな曲線のデザインが施された掛け花入れは翠篁氏ならではの手法が活かされたとても美しい作品です。
武関翠篁氏は1958年東京都荒川区の生まれ。幼い頃から家業である竹工芸に慣れ親しみ、祖父の翠心、父の翠月について教えを受けたほか、のちに竹工芸で人間国宝となった飯塚小玕斎(いいづか しょうかんさい)にも師事して技の修練を積み重ねました。
どんなに細くしてもぴんとした力強さがあるところが竹の魅力と語る翠篁氏。作品作りにおいては、素材の軽やかさや出来上がった時の作品の耐久性にもつながる強靭さ、それでいてしなやかにたわむといった、他の素材にはない竹の特性を活かしながら緻密に編み込んでいくことにより、竹と竹の間の生まれる少しの透き間、いわゆる透かしの技法に美しさを感じるといいます。
翠篁氏が手掛けた花篭の多くにこの透かしの技法を使った造形美を楽しむことができますが、驚くべき点は、その工程に木工職人のようにありとあらゆる道具を用いることはせず、小刀一本と数本の鉈以外はすべて長年培った経験と技術による手あんばい、さじ加減ひとつだというところです。1mmに満たない素材にまで面取りを施すといった、世界を見渡しても類のない日本人の工芸に対する美意識の高さとその伝統を重んじていると語る翠篁氏。竹工芸の技の極みによって生まれる躍動感と繊細さの両方を兼ね備えた作品と対面すると思わず足を止めて見入ってしまうほどの魅力を感じます。氏によるそれらの作品は工芸品としてはもとより格調高い美術品として宮内庁を始め、国内外の美術館で所蔵・展示されています。
デザインの中に『動き』を取り入れることを大切にし、これからもダイナミックな竹工芸を志すと語る翠篁氏は、現在東京の下町は谷中銀座の入り口で『竹工芸 翠(みどり)屋』を営んでいらっしゃいます。
いわの美術では武関翠篁氏の作品のお買取り強化をしております。ご自宅や事務所などにご売却をお考えの作品をお持ちの場合、ぜひ弊社までご相談ください。LINEやホームページに写真をお送りくださるだけで簡単に無料査定を承ることができます。写真の送り方が分からない、などの場合もお電話にて対応させて頂いております。まずはお気軽にご連絡いただけますよう、スタッフ一同お待ちしております。