写真のお品物は11代長岡住右衛門(空権)の茶碗で、共箱の蓋裏には鵬雲斎の書付もございます。
長岡空権は島根県松江市出身の陶芸家で、松江中学(旧制)を卒業後より、祖父9代空味、父10代空處(空処)について家業を手伝い始めました。
1960年に祖父9代空味が、翌年には父10代空處が相次いで死去したために7代住右衛門と、楽山焼11代目を継承して、現在まで活躍されています。
長岡空権は11代坂高麗左衛門にも師事し、自身の陶技を磨きました。
作品では象嵌手の三島写し、伊羅保写しを得意として、茶陶を中心に製作を行っています。茶陶では特に今回のお品物のような茶碗や、水指、茶入などに秀作が数多く残されています。
楽山焼というのは島根県松江市の楽山公園の一角にある窯元で、御山焼とも呼ばれています。萩の陶工であった倉崎権兵衛を祖として、江戸時代初期に創業されたといわれています。倉崎権兵衛は朝鮮からの帰化人で、萩焼の李敬(初代高麗左衛門)の高弟で伊羅保写しや高麗写しを得意としていました。
楽山焼は一度中絶してしまうのですが、布志名窯の名工 長岡住右衛門によって再興され、長岡家は現代12代となっています。