写真のお品物は、いわの美術でお買取りいたしました、5代三浦竹泉の赤絵草花文香炉です。
三浦竹泉(みうら ちくせん)は嘉永6年から5代続く京焼の名工で、こちらは現当主である5代三浦竹泉の作品でした。
滑らかな白磁に優美な色絵が映える三足香炉は、伝統的な京焼の美意識が随所にみられ、金属部分の火舎(ホヤ/火屋、穂屋)には菊や梅の草花文の透かし彫りが成されています。
「信幸造」「銀製」の刻印、作家の箱書きのある共箱も付属する確かなお品物で、高評価のお買取りとなりました。
都として長く栄えた京都に日本各地の焼き物産地から陶工が上京し、将軍家・宮家・武家・茶人にむけて洗練された個性豊かな焼き物を制作しました。
京都では陶土が採れないものの全国から取り寄せが可能であり、陶工はそれぞれ独自の陶土をブレンドし、自由な技法で焼き物の美しさを競います。
江戸時代には粟田口焼・八坂焼・音羽焼・御室焼・御菩薩池焼・修学院焼などは京都市内の多くの場所に窯が展開され、茶器を中心に繊細な絵付けの陶磁器が発展しますが、明治維新後に淘汰の時代を迎えます。
京都で焼かれる種々の焼き物を総称する京焼の呼称が一般的となるのは第二次大戦前後の頃です。
現在は東山・山科・宇治で生産される焼き物すべてを京焼・清水焼と呼び、国と自治体の伝統工芸品に指定され、日本の美術工芸の代表格となっています。
初期の京焼は1605年に博多の豪商が記した文献記録が最古と確認されています。
楽家初代長次郎や本阿弥光悦らが活躍していた江戸初期に上京した陶工が窯を開き、17世紀半ばの江戸前期には京焼随一の名工と謳われる野々村仁清が御室窯を創始しました。
野々村仁清の弟子である尾形乾山は師に並ぶ名工として知られ、確かな色絵技術の上に大胆な絵付けが映える絵皿や懐石道具などを、実兄の絵師・尾形光琳と共作しました。
18世半ばの江戸中期に再び名工の続く京焼の盛期が訪れ、初代清水六兵衛、初代高橋道八、奥田頴川らが活躍し、青木木米、二代高橋道八、永楽保全らへ継承されます。
奥田頴川は京焼で初めて磁器の製造に成功、また明末清初の呉須赤絵を再興させ、他の名工達も歴史的な日本・中国の焼き物技法を復興して独創を加え、さらに他の地方の窯を技術指導し各地に京焼の技法を伝えました。
明治維新による東京遷都や廃藩置県の大変革が起こると、京焼は顧客層を一気に失い多くが廃窯となりますが、輸出産業に力を入れた明治政府によって万博に出品され、まだ京焼の通称が無かったため楽焼・粟田焼・磁器として欧米のコレクターに蒐集されました。
焼き物が美術工芸として認識されるようになった明治中期、帝室技芸員に選ばれた5名の陶工のうち4名が京焼出身であることからも、京焼の技術力・美術価値の高さが伺えます。
大正時代に全国の陶器産地で大量生産の時代になると優秀な職人が京都へ流入し、民藝運動の機運に乗り京焼の芸術性はさらに高められました。
戦後は公害問題と生産拡大から清水坂の窯が使えなくなりますが、京都市山科区と宇治市に拠点が移り、現在は京都市から宇治市一帯で焼かれるものを京焼・清水焼と呼んでいます。
初代三浦竹泉は三大高橋道八のもとで修業し、1883年に30歳で五条坂に開窯し、技法の改良にも尽力しました。
ヨーロッパの色彩を取り入れた磁器など文明開化の時代を反映した作品にも挑み、文人趣味の書画も能くし、教養と器用さが相乗し色絵、金襴手、染付、祥瑞、吹墨と得意とする技法は多岐に渡りました。
二代三浦竹泉は若くして名工の評判があり、煎茶器などで佳作を遺していますが、襲名からわずか5年で早逝しています。
三代三浦竹泉は初代の三男にあたり、甥が幼少のため三代目を襲名しますが、10年後に成長した四代目に家督を譲り、分家して三浦竹軒と名乗り作陶を続けました。
三浦竹軒の次男は三浦飛白として、長男は三浦篤としてそれぞれ作陶家となり、三浦篤は初代没後に二代三浦竹軒を襲名しています。
四代三浦竹泉はもっとも長い40年を超え、煎茶器と抹茶器を中心に、三浦家伝統の赤絵・金襴手・色絵に留まらず青磁や染付などでも優美な品を残しました。
現当主にあたる五代三浦竹泉は同志社大学で美学・芸術学を専攻し、1972年に襲名しています。
京焼の歴史研究でも知られ、伝統技法を踏襲しながら現代的な作品も手掛け、作風は多岐に渡り、現在も個展で発表を続けています。
三浦竹泉は骨董品のなかでも安定した人気のある茶道具を多く手掛け、状態や付属品が揃うと好評価でのお買取りが期待できます。
査定のポイントは下記が挙げられます。
・何代目の作品か
・銘、箱書きが確認できるか
・欠け、ヒビ、褪せの有無
・共箱、共布、栞、保証書、箱書き、極め箱、などの有無
・茶道家元の書付の有無
いわの美術では美術品・骨董品を中心に幅広くお買取りを行っております。
三浦竹泉の作品もお買取り実績が多く、お品物を丁寧に拝見し、中古市場相場を鑑みた最高値のお買取り額をご提示できるよう尽力いたします。
三浦竹泉作品は、何代目か・品物の種類により、希少で高価となるものから流通量が多く安価となってしまうものまで様々です。
まずはお問合せいただき、お写真をライン・メールにてお送りいただきますと、詳しい査定額のご案内が可能となります。いずれも無料で承っております、ぜひご利用ご検討くださいませ。