今回いわの美術がご紹介するお品物は、以前、三重県で茶碗や水指、茶杓など他の茶道具と一緒にお買取りした立花大亀の茶掛です。
軸には禅における書画の一つで、図形の丸を一筆描きで表現した「円相(えんそう)」が描かれていました。
悟り、真理、仏性、宇宙全体などを円形で象徴的に表現したものとされ、「一円相(いちえんそう)」「円相図(えんそうず)」などと呼ばれています。
立花大亀は京都大徳寺塔頭(たっちゅう)の徳禅寺住職であった僧侶で、僧侶としての名声の他にも日本の教育にも貢献してきた人物です。
茶道の造詣も深く茶掛以外にも茶杓も多く制作し、残しています。
印名も非常に多く、「霊山主人」 「大亀雅」 「如意庵」「大亀宗雅」 「游樫昧」「遊樫昧」など様々な名称を使い分けていたようです。
お茶の手さばきも見事で、茶道の指導を行っていた事からその名声が広がり、立花大亀の書いた茶掛は茶人たちにとって人気となっていきました。
また、茶陶の指導を行った事もあり、有名な陶芸家・杉本貞光も立花大亀の指導を受け、箱書きを度々頼んでいたそうで、立花大亀が箱書きした杉本貞光の作品も多く残されています。
今回お買取りした立花大亀の掛軸は、ダイナミックな筆致で、徐々に筆に残る墨が薄くなっていく様が見て取れる灌漑深いものでした。
多少の薄いシミがございましたが、それ以外はとても綺麗で、共箱、外箱付でしたので高価買取で対応させて頂きました。