今回、いわの美術がお買取りしたお品物は、高野昭阿弥の紫交趾唐草図台子皆具です。
高野昭阿弥は初代が京都・五条坂の柴田如阿弥に弟子入りし、その後独立して昭和5年に昭阿弥窯を開窯した事から始まり、平成5年に2代高野昭阿弥がその名と窯を受け継ぎ、活動を続けています。
高野昭阿弥の窯といえば、巧みなロクロの技術に豊かな色彩に伝統を踏まえ洗練された京焼を生み出す事で評判な窯元で、染付、赤絵、髄鞘、交趾など作風も幅広く主に煎茶道具、抹茶道具を中心に作陶を行っており、近年では割烹食器などにも取り組み、新しい活動の場を広げています。
お買取りした紫交趾唐草図台子皆具は茶道具の1つで、台子や長板に飾る道具一式で「水指」「杓立」「建水」「蓋置」が統一された意匠で作られます。
そのため、紫交趾の釉を用いて縁取りを盛り上げるイッチンの技法を使った唐草図という高野昭阿弥が得意とする技法が余すとこなく使われており、眺めているだけでも楽しめる素敵なお品物でした。
ちなみ交趾とはその昔、中国南部で生産された陶磁器がベトナムのコーチシナ(交趾支那)との貿易で交趾船によりもたらされたことに由来しており、色鮮やかな釉と、独特の模様が特徴です。
共箱付で使用感もほとんど無く、とても良い状態だったので買取を行いましたが、今回は残念ながら共箱に汚れが重要な箱書き部分に付着していたため、その分がマイナス評価となりました。
共箱は買取額に大きく影響してきますので、ただの収納箱だと思わずに大切に扱い、汚れたり、壊れてしまっても処分せずに保管して置く事で、高価買取へと繋がります。