今回、いわの美術がお買取りしたお品物は、高橋敬典の遠山釡です。
高橋敬典は山形県の釡師で、家業の鋳物業を継ぎ、茶釜制作一筋で多くの茶釜を手掛けており、重要無形文化財「茶の湯釜」の保持者の認定を受けています。
斬新な造形と地肌、地紋に工夫を凝らし、気品ある作品が高く評価され、数々の賞を受賞しており、昭和天皇、皇太子殿下への献上の釡の謹作も行いました。
高橋敬典は当時まだ広く知られていなかった山形鋳物を日本全国に知らしめるため、東京を中心に多くの展示会を開催していました。
今回、お買取りした高橋敬典の遠山釡は筒型の風炉用の釡で、裏千家第15代家元・鵬雲斎が好んだ釡の一つで、胴全体に大小さまざまな遠山の絵が見られ、山全体は小霰地紋になっているのが特徴の釡です。
お買取りした遠山釡は蓋の取っ手部分は銀で作られており、輝きを失ってはいない状態でした。
釡全体も表面にシミがなく、内側も錆びなど目立ったマイナスポイントは見られず、共箱、共布とも綺麗だったことから、高い評価での買取となりました。
茶道を嗜んでいる方はご存知かと思いますが茶釜は素手で表面を触ってしまうと手の油でシミになってしまいます。
茶釜を持ち運ぶ時は内側を持ち、決して外側を素手で触らないようにする事でマイナス評価を避ける事ができます。
また、共箱や共布など付属品はできるだけ多く残しておくことも買取額アップの大事なポイントとなっております。