今回、いわの美術がお買取したお品物は、唐銅鬼面風炉で般若勘渓が制作したものです。
風炉とは茶道具で使う道具の一つで、茶道では風炉の季節と炉の季節に分かれており、風炉は5月~10月までの間で使用する道具です。
今回、お買取した風炉は唐銅鬼面風炉ですので、中国より渡来した最も古い形といわれ真正の風炉とされています。
また、台子でも用いられるため別名を台子風炉ともいいます。
その形状は、切合(きりあわせ)で乳足、鐶付が鬼面で仕付鐶になっています。
今回は唐銅が素材でしたが、鉄で出来たものもございます。 鬼面風炉には平丸釜、真形釡を使うことが決められていますので、セットになっている釡は平丸釡でした。
共箱には「南鐐提平丸釜添」と書かれており、この「南鐐」という言葉は銀を表す言葉で、釡の摘み部分には銀が使用されているお品物でした。
また、釡は鉄で出来ており、錆びなどはほとんどなくとても良い状態でお譲り頂きました。
そして、今回お買取りした風炉と釡の作者は高岡を代表する釡師・般若勘渓が手掛けたもので、ろくろの技術を駆使して銅と錫の合金を用いて鋳造を行う砂張(さはり)の技法を得意としています。
古作釜の研究を続けて数多くの写しを制作しており、宮内庁正倉院の依頼により正倉院宝物「砂張理加盤」「黄銅合子」の複製を行っており、日本伝統工芸展で活躍し、数多くの作品を手掛けています。
今回のように状態も良く、実力ある作家で、共箱、共布などの付属品も揃っていますと高価買取が期待できます。