今回、いわの美術がお買取したお品物は川崎鳳嶽の中次です。
しかし、この中次は通常の中次と違う部分がございます。
それは奈良市西大寺芝町にある真言律宗総本山の寺院、西大寺の古材を使用して作られた中次なのです。
古材とは神社仏閣の修復や建て替えなどで出た柱などの事で、茶道具では中次以外にも棚物や炉縁など木製の道具が作られます。
中次は薄茶器の事で、円筒の寸切形のものを言います。
中次という名前は蓋と身の合わせ目(合口)が胴のほぼ中央にある事が由来しており、もともとは直径と高さが同一寸法でしたが実際は見た目が短くなってしまうため、多少高さを増した形をしています。
お買取した中次は西大寺の長老をつとめる松本実道の書付があり、そこには花押も記されていました。
古材を使用した茶道具は量産する事ができないため、高価買取が期待でき、今回のように付加価値の高いお品物の場合は1点からでも買取る事が可能です。
川崎鳳嶽は奈良県の木竹工芸師で、奈良県には様々な神社仏閣があり、川崎鳳嶽の生家は橿原神宮のある地で宮大工、建具、指物など木竹に携わる仕事をしてきました。
幼い頃からこういった環境で育った事もあり、自然と木竹工芸師の道を歩む事になります。
川崎鳳嶽ははじめから茶道具を制作していたわけではなく、薬師寺東塔1/80の模型を作っていた時に薬師寺長老・橋本凝胤師の助言を受けた事きっかけで茶道具の制作に取り組むようになり、香合、炉縁、風炉先、棚などの制作を行ってきました。
丁寧で気品のある作品は多くの茶人から支持されており、いわの美術でも何度か買取りを行った事のある作家の一人です。
その作品の全てには「鳳嶽」の焼き印が記されていますので、「鳳嶽」の焼き印のある茶道具がございましたら、いわの美術が買取らせて頂きます。