写真のお品物は、以前お買取させていただきました小川長楽(祐起夫)の黒茶碗です。
茶道等で使われる茶碗は、昔から「一楽、二萩、三唐津」といわれるように、楽茶碗が一番重宝されていますが、今回買取の小川長楽(祐起夫)の茶碗は、楽焼の黒茶碗です。
黒茶碗、すなわち黒楽茶碗は、利休が「黒は古き心なり」と、利休が愛した茶碗としても知られます。
豊臣秀吉愛用の「黄金の茶室」にみられるように、秀吉は派手好みで黒を嫌うことを知りながら、利休は、平然と黒楽茶碗に茶をたて、秀吉に出したという茶会での話も伝わっています。
そういった茶道で、いわれのある黒茶碗ですが、今回買取の小川長楽(祐起夫)は、黒楽、赤楽を中心に品格のある茶陶制作を展開する作家です。
小川長楽は、京都の茶陶の名窯で、初代は400年の伝統を持つ楽家11代の慶入に弟子入りし、卓越した技量で楽家から独立を許され、楽茶碗としては楽家に次ぐ高い評価をされた名陶です。
小川長楽(祐起夫)は、2代目の長男として生まれ、父の下で修行、また京都市立陶磁器試験場にて釉薬配合や焼成方法を研修し1992年に3代長楽を襲名します。
3代 小川長楽(祐起夫)も多くの作品を製作していますが、その独特の造形美とデザイン性の高い表情は、伝統美を持ちつつもモダンな作品が多いとされています。
今回買取の小川長楽(祐起夫)の黒茶碗には、「裕起夫」の銘がみられ、これは当代が3代を襲名した直後まで使っていたとされる銘とされています。
今回買取の小川長楽(祐起夫)の黒茶碗は、上品で趣があり、造形も良く手にしっくりくる出来の良い作品です。
使用感もほとんどみられず、作家の落款付の共布、箱書きのある共箱とあわせてお譲りいただき、高価買取にて対応させていただきました。