20世紀のイタリアで活躍した画家、彫刻家で、ルーチョ・フォンタナと並び、第二次世界大戦後のイタリアの前衛美術を牽引したアンフォルメルを代表する芸術家として知られています。
日本ではフォンタナほどの知名度はありませんが、20世紀のイタリア美術における重要性や次世代の芸術家たちへ与えた影響としてはフォンタナには劣らない存在です。
ブッリの作風はこれまでの絵画に使われていた伝統的な画材を用いるのではなく、麻布、木、鉄、プラスチックなど性質の異なる素材を同じ画面上で組み合わせ、破ったり、穴を開けたり、焼いたりしてこれまでの絵画では見られなかった強烈な存在感とダイナミックな構成力を持つコラージュ作品が特徴です。
こういった事からブッリは絵画表現の可能性を広げたという事が分かります。
そんなブッリですがはじめから画家を志していたわけではありません。
もともとは薬剤師として働いており、第二次世界大戦で従軍していましたが捕虜となり、収容所でアートの世界に目覚めます。
イタリアに戻る事ができたブッリは薬剤師を辞め、画家として活動するようになり、亡くなるまで一貫して抽象表現のみに取り組んでいました。
また、舞台装置のデザイン画、写真、ポスターなども手掛けており、イタリアの現代作曲家サルヴァトーレ・シャリーノが、ブッリが亡くなった年に「3つの楽器のためのブッリへのオマージュ」という曲を作曲しており、この事からも様々なジャンルの芸術家たちにブッリが影響を与えた事が分かります。