アメリカの彫刻家で、知名度と好感度が高い事で知られています。
カルダーが手掛ける彫刻作品は「モビール」と呼ばれる動く彫刻で、カルダーの芸術的才能と同時代のアヴァンギャルドな芸術、そしてその動きを具現化できる工学知識の融合によって生み出されたもので、20世紀最大の革新的な彫刻として知られています。
カルダーの家は祖父も父親も高名な彫刻家として活躍しており、母親も画家という美術家の家庭で育ちました。
そのため、幼い頃からアメリカ中を転々としながら両親の作品制作を身近で感じており、8歳の頃から工具を与えられ創造性を高めていきました。
両親は芸術家が安定した収入を得られない事から、カルダーが芸術家になる事は反対していました。
そのため、スティーブンズ工科大学で職人を目指して機械工学の勉強をしてエンジニアとなりました。
この事が後に「モビール」を生み出します。
彫刻家に転向するとまずはパリに滞在します。
ここではモンドリアン、ミロ、デュシャン、アルプをはじめとする当時のパリ美術界をリードしていた錚々たる前衛芸術家たちが活躍しており、交流を深め抽象美術とシュルレアリスムに強い影響を受けます。
こうしてカルダーの代名詞ともいえる「モビール」や「スタビル」が生み出され、世界中にその名が知れ渡っていきました。
また、モンドリアンの三原色による幾何学的な抽象絵画に出会った事で限られた原色だけによる動く抽象彫刻作品・モビールの制作を行い、彫刻界は衝撃を受けました。
カルダーはこうした彫刻作品の他にも市街地に置く大型のパブリック・アート、友人や家族向けの小さなジュエリーの制作、タペストリーなどのテキスタイル作品のデザイン、航空機の塗装デザインなど幅広い活動を続け、亡くなった現在でも「モビール」は世界中で身近なものとして愛され続けています。