鹿児島県出身の彫刻家です。
東京美術学校を卒業しており、在学中に帝展で入選を果たすなど、彫刻家としての素質に恵まれていた事が分かります。
また、朝倉文夫に師事し、朝倉彫塑会に参加しています。
安藤照は鹿児島市にある西郷隆盛像や東京渋谷の忠犬ハチ公像(初代)を制作した事でとても有名です。
西郷隆盛像については東郷平八郎に依頼を受け、西郷の体格や外見の研究に1年を費やし、さらに国内の古美術や銅像見学に1年かけ、加えて銅像研究のため欧州へ渡るなど制作にかなりの時間を費やした大作で、現在も桜島をしっかりと見つめています。
一方、忠犬ハチ公像の方はもともと安藤照が日本犬の彫刻作品を制作しようと斉藤弘吉に相談したところ、渋谷駅前に立派な日本犬がいるからモデルにしてみないかとハチをモデルにして制作されたものでした。
その後、その作品は展覧会に出品し、上野の美術館に展示され多くの人の目にとまり、ハチの人気も高まってきたことから、渋谷駅駅長が「ハチの銅像を駅前に残してほしい」と依頼し、忠犬ハチ公像は完成したのでした。
しかし、戦時中の金属供出として忠犬ハチ公像は撤去され、終戦前日の8月14日に銅像は溶解されてしまいそのまま機関車の部品として東海道線を走ったそうです。
また忠犬ハチ公像を復活させようと声が上がりましたが、安藤照は戦争の空襲によって命を落としており、安藤照が忠犬ハチ公像の復活に直接携わる事はありませんでしたが、息子の安藤士が安藤照の作品を溶かして2代目となる忠犬ハチ公像を手掛け、現在も渋谷駅で多くの人々に見守られています。