埼玉県出身の昭和~平成時代に活躍する日本の彫刻家です。
関根伸夫は、「もの派」と呼ばれる1960年代末に始まり、1970年代中期まで続いた石、紙、綿、鉄板、パラフィンといった「もの」を組み合わせたり、単体で作品とする日本の現代美術の大きな傾向の先駆者として活躍した人物として知られています。
一方で、「公共空間を活性化させるアート」に強い関心を持ち、環境美術研究所を設立し、日本各地でパブリックアートを展開してきました。
幼い頃から芸術に興味を持っていた関根伸夫は、多摩美術大学で油彩画を学び、在籍中は斎藤義重と高松次郎に師事していました。
高松次郎のイリュージョニスティックな絵と立体作品は、当時の東京のアートシーンでは中心的な存在で、関根伸夫も大きな影響を受け、初期の作品には視覚を惑わすトリックアート的な要素が強い作品を展開していました。
そのため、「トリックス・アンド・ヴィジョン 盗まれた眼」というグループ展でトリックアート的な作品を出品しており、画家としての一歩を踏み出していました。
彫刻家に転向するきっかけとなったのは、1968年に行われた毎日現代展コンクールに絵画部門で出品したはずの作品が、係員の手違いで立体部門に回され、そこで受賞をした事でした。
その後、野外彫刻展に出品した『位相-大地』という、掘り起こした土を穴と同じかたちに固めて隣に置いた作品で注目を浴び、日本の美術界に「もの」と「空間」の相互依存的な関係性を示す作品を展開していきました。
現在は埼玉とアメリカ・カリフォルニアを活動の拠点とし、中国や韓国でも個展を開催するなど、国際的に活躍をしている日本人彫刻家として注目を浴びています。