京都府出身の漆芸家で、輪島塗の塗師として活動しています。
工房は石川県山中町にあるのですが、住んでいる場所が京都という一風変わった塗師として知られています。
輪島塗は室町時代に起源したとされており、紀州の根来寺(ねごろじ)の寺僧が輪島重蓮寺に来て、同寺の家具類を製造し、漆工技術を伝来したという説や、福蔵という土地の人が根来に行き、技術を伝習した説など諸説あります。
そんな輪島塗の特徴は、厚手の木地に生漆と米糊を混ぜたものを布で張って補強し、生漆と米糊、そして焼成珪藻土を混ぜた下地を何層にも厚く塗った「堅牢さ」に重きをおいている漆器で、124にも及ぶ工程によって生み出される漆器で、木地作りや漆塗などそれぞれが分業で行われているのが基本です。
岡本陽斎はその輪島塗の漆を塗る作業に従事しており、漆芸の伝統技法をベースとし、蒔絵、螺鈿、独楽塗、そして黒漆と朱漆のコントラストによる文様を描き出す事に高い技術力を見せ、棗、香合、茶器などの茶道具や椀などの食器などを中心に制作を行っています。
草花や鶴、その他の伝統文様をモチーフにした作品を得意としており、均整のとれた空間構成に定評があります。