北海道出身の女性の陶芸家で、独特の世界観を持つプリミティブなオブジェ作品で注目されており、伝統や過去にとらわれず、これまでに見た事のない器を作る事で知られています。
東京芸術大学工芸科を卒業後、パリ、フランス国立工芸学校の研究生としても陶芸を学んでいます。
人類学者である夫・川田順造の調査地である西アフリカで3年間暮らした事が小川待子の陶芸に大きな変化をもたらし、「叩き伸ばし」の技法を使用した作品を手掛けるようになります。
この技法は型に土を入れて叩いて伸ばすもので、ろくろでは生み出す事のできない半球や球体も簡単に作り出す事ができ、小川待子の作品の特徴となりました。
小川待子は従来の陶芸ではマイナスとされていた「ひび」「欠け」「割れ」「釉薬の縮」などをプラスの要素とした作品を作り出す事に成功しており、一度作り上げた作品を半乾きの状態で壊してから焼成する方法で作品の制作にあたっています。
また、その作品には得意とするガラス釉を巧みに使用し、まるでそこに水が溜まっているかのような錯覚を起こす神秘的な作品を手掛けており、陶芸の新しいジャンルを築き上げました。
小川待子の作品を「陶芸ではない」と否定する人々もおり、一時は工房に引きこもり、黙々と作品を作り続ける日々を送っていましたが、現在では精力的に個展を開催し、花入、茶碗、茶器などの茶陶も手掛けています。