山口県出身の陶芸家で、大地の様相や生命感を喚起させる力強い造形で、国際的に活躍する現代陶芸家として知られています。
しかし、秋山陽自身は「土を素材にしていますし、焼いて作っているから陶器だと言われればそうなんですが、ぼく自身は陶芸や彫刻、現代美術といった既成のジャンル分けには意味はないと思っています」と述べており、そういった概念にとらわれない作品を制作しています。
京都市立芸術大学陶磁器専攻科に入学すると当時の講師であり、後の恩師となる前衛陶芸のパイオニアだった八木一夫から多くのものを学び、ある時ミカンの皮をむいていて「粘土の皮をむけないかな」と思いつき、土の表面をバーナーで焼き、ひび割れた所から土をむいた事から現在の秋山陽の作陶スタイルが出来上がりました。
一時は思いどおりになる土の可塑性やコントロールできる焼成を重ねるうちに陶芸への疑問が浮かび、陶芸家から遠ざかっていた時期もありましたが、土の魅力を再発見し、しっかりと土と向き合う事ができ、再び、制作活動に没頭するようになります。
こうして陶土を成形した素体をバーナーで焼き、延伸、剥がし、裏返しなどを行い抽象的造形を構築することで、独自の表現を確立した秋山陽は、個展、グループ展を中心に作品を発表しており、時には全長8メートルを超える大がかりな作品も手掛けています。
重厚なボリュームとマッス、そして激しく励起されたマチエールは秋山陽ならではの確かな造形力によって生み出されるもので、人が作るもの意味や土の持つ可能性を問い続けながら制作活動にあたっています。
現在は京都市立芸術大学で教授として後進の指導にもあたっており、常に新しい感覚を取り入れ、終わりのない追求を続けています。