萩焼の陶芸家で、兼田天寵山窯の8代目の当主でもあります。
7代・兼田三左衛門の長男として生まれ、幼い頃から父親の仕事の真似をして遊んでいたため、陶芸家の道に進む事はごく自然の流れでした。
大学では彫塑を学び、そこではギリシャやローマなどの西洋美術を学んでおり、様々な素材についても学びました。
卒業後は父に陶芸の全てを教わり、自分の作品に取り組んでいましたが、ろくろでの制作では決まりきった形しか作りだす事ができない閉塞感に納得できず、ふと目に留まったろくろを回す前の土の塊を見てインスピレーションを感じました。
こうして刳貫技法という、土の塊を板で叩き締め、中を刳り抜く事で成型する独自の作陶を始め、どしっと構えた山の稜線のような萩焼が生まれました。
この作陶方法で気を付けている事は、彫塑的にならないようにあくまで焼物である事を意識する事で、丹念に刳り貫かれた包容力を感じられる存在感のある作品に仕上げています。
作品には灰被りや白萩釉をベースにした繊細で複雑な表情のものが多く、人気作家となっています。
茶の世界では一楽、二萩、三唐津と呼ばれ、萩茶碗は古来より茶人に愛されてきた焼物で、その萩焼に新しい風を送り込むために、日本ののみならず、海外でも精力的に活動を続けています。