神奈川県出身の陶芸家で、中国官窯青磁の魅力に心奪われ、青磁を中心に作品を発表している作家です。
自然界からの閃きを求め、その都度テーマを決めてから個展を開催するこだわりを持っています。
また、土の持つ柔らかな温かみを表現したいと、様々な角度から青磁に取り組んでいます。
川瀬忍は陶芸一家に生まれ、父親は2代・川瀬竹春で、祖父はその初代に当たります。
幼い頃から陶芸という世界に触れて育った川瀬は、特別に陶芸をやりたいという気持ちでこの世界に入ったのではなく、陶芸の家に生まれたからという理由で陶芸を始めました。
しかし、現実はすぐに作品を制作する事を許されわけではなく、染付を教わる際は、絵を描く工程より先にろくろを挽く工程を満足にできるようにならなければやらせてもらえないという厳しい環境下でした。
そんな中、窯から出てくる染付の高台のところに釉の溜まった部分が青くなっているのを発見し、そこで釉が濃くなることで青く発色する事が分かり、意識的に厚く釉をかければ青磁ができると考え、青磁を一生のテーマに決めました。
川瀬忍の作品は柔らかな曲線で表現された青磁や手が切れてしまうのではないかと思わせるほどのシャープさのある洗練されたフォルムが特徴で、どれも実に色鮮やかな発色が特徴です。
南宋官窯を目指して研究を重ね、それを超克した伝統の形を用いていながらも、一目見れば川瀬忍の作品だと分かる自分の形をしっかりと持った作品は多くのファンを魅了しており、これまでに多くの個展を開催し、作品を発表しています。