京都府出身の陶芸家でその斬新な作品から美術家として評価されている作家です。
祖父は重要無形文化財「染付」の保持者である近藤悠三で、父・近藤濶も陶芸家で、その長男として生まれました。
学生時代は卓球選手として活躍しており、インターハイ・シングルチャンピオン、関東学生シングルス、全日本学生卓球選手権大会ダブルスチャンピオンとその実力を示し、国際大会の日本代表にも選ばれています。
この時の卓球選手として鍛錬された運動能力と精神の強さが創作活動を続けていく上で大きく役立っているそうです。
近藤高弘は法政大学卒業後に一般企業に就職します。
幼い頃から陶芸に慣れ親しんでおりましたが、陶芸家として道は考えていませんでした。
しかし、26歳の時に陶芸家の叔父・近藤豊が自ら命を絶った事をきっかけに陶芸家としての道を歩むようになります。
京都府立陶工訓練校、京都市立工業試験場で学び、初期の頃は近藤家に伝わる伝統的な染付作品で実用的な器ばかりを制作していましたが、伝統と未来を結ぶ仕事がしたいと、これまでの陶芸にはなかった土、ガラス、金属などそれぞれ違った素材がうまく融合する実用性からかけ離れた作品を展開するようになります。
これらの作品はブラジルで彫刻、絵画、金工など使う素材は違っても芸術を創る意識は同じだという事を学び、これが芸術家魂に火をつけ、具現化させた結果なのです。
初めての個展をブラジルという日本国内ではない点でもこれまでの陶芸家にはなかった試みで、これまでに日本国内、国外を合わせて様々な場所で個展を開催し、展覧会にも出品しています。
特に代表的な作品は幾何学で抽象的な「時空壷」シリーズ、銀滴彩というガラス成分を含む素材を磁器の表面に焼き付けることで表現する独自の技法を駆使した「ミスト」シリーズなど、インパクトの大きい作品を展開しています。