楽得入は三千家から重宝されている楽焼の茶碗師、8代目楽吉左衛門です。
楽得入は初代長次郎の作風を追い求めた7代目当主である長入の長男として生まれました。
しかし病弱だった為、父の亡き後は弟に家督を譲り、隠居した後は左兵衛と名乗りました。
その後も制作を続けますが30歳という若さでこの世を去ります。
その為、楽得入の受け継がれている作品は歴代で最も少なく、作品のほとんどは隠居前である25歳までの若き頃の作品でありながらも完成度は高く円熟で不思議な魅力があるといわれています。
楽得入の作風は、父である長入譲りのヘラ使いは見事で温和さに加え、若々しさと可愛らしさが感じられるという評価も受けています。
また、先代の影響を受けている長入は初代長次郎への思いも強く長次郎写しも作っていたといわれており、長入が茶濁りを渦巻にすることを好んだのか、高台の中に兜巾渦巻があるのも得入の作品の特徴です。
残っている得入の作品のほとんどは赤楽ですが黒楽も若干受け継がれており、宝玉を描いた作品は得玉と呼ばれ縁起物とされています。
楽家の隠居後は3代目の道入以降から代々「入」の字を使い改号しますが8代目得入は、正式に歴代に数えられるものの没することから25年後に「得入」と賜号されました。