切子技術を多用するチェコのガラス工芸です。
9世紀頃のモラヴィア帝国(モラヴィア・シレジア・ボヘミア)で
装身具の材料としてガラスが使われたのが始まりと言われています。
その後もボヘミアガラスは発展を続け、
13世紀には丸窓ガラスやゴシック大聖堂のステンドガラスも
制作されるようになりました。
そして、14世紀前半には数箇所だったガラス工房も
14世紀後半には20箇所に増加し、
吹きガラスによる様々なガラス器も製作されるようになります。
16世紀にはヴィネツィアン・ガラスの製法が
職人と共にもたらされ、エナメル色彩で装飾された
ヴィネツィアン様式のガラス器が数多く制作されました。
また、当時のローマ皇帝・ルドルフ二世が宝石愛好家であった事から
首都「プラハ」が宝石彫刻の中心地となり、
水晶に似た純粋で硬い透明なガラスが開発されました。
この技術は三十年戦争の間も途切れる事なく継承され、
主要輸出品にまで至りました。
17世紀前半に、宝石カット職人のキャスパー・レーマンが
ブロンズ製の回転砥石で宝石をカットする技術をガラスに応用し
バロック様式の装飾的なガラス細工が広まりました。
17世紀後半にはソーダ石炭の代わりに
木炭を使う「カリガラス」が発明されています。
18世紀中頃から19世紀前半は、
戦争と鉛クリスタルガラスの広まりにより一時衰退しますが、
フリードリッヒ・エーゲルマンが斬新なデザインを発表した他
技術的にも新たな物を開発してボヘミアガラスを回生させました。
伝統的な手法を守り、継承する一方で
時代の変化に対応し様々な芸術要素を取り入れ続けています。
9世紀頃 開発される
13世紀 幅広く使われるようになる
14世紀 ガラス工房が数箇所から20箇所に増える
16世紀 ヴィネツィアン・ガラスがもたらされる
17世紀 装飾的なガラス細工を開始、カリガラスを開発
18世紀~19世紀 一時衰退するもフリードリッヒ・エーゲルマンの貢献により回生
グラス
ステンドグラス
窓ガラス