ゴーチェはフランス最大のビスクドールの工房として知られ、ビスクドールの命ともいえる頭部の製造を主に手掛けており、その製造方法で特許を取るほどでした。
そのためジュモー社、ブラムポワ社、A.T、J.J、P.D、R.D、ゲスランドなどに頭部を提供していました。
また、ゴーチェでも他社からボディの供給を受けてビスクドールの制作を行っていました。
ビスクドールは19世紀はじめにフランスで生まれた素焼きの頭部を持つ人形の事で「2度焼き」を意味する「ビスキュイ」が語源となっています。当時の貴族たちの間ではファッションドールとして自分と同じ洋服を着せて抱いて歩いたり、オートクチュールの店の小さなマネキンとしてヨーロッパ中の宮廷や貴族の注文を取るために使用されていたようです。そのため、フランスではジュモー、ブリュ、ゴーチェ、エデンベベ、ドイツではケストナー、シモン&ハルビック、ハンドヴェルグ、アーモンド・マルセルなどの工房が有名でした。
その有名な工房の一つであるゴーチェのビスクドールの特徴は、こぼれ落ちそうな大きな瞳と四角い輪郭にえくぼのついた二重あごという、赤ちゃんの顔に幼い子供の顔を描いたような形態です。
また、肌の色が白い事と、他のビスクドールの工房と比べると眉が細い事が人気の一つでもあり、コレクターの間では好き・嫌いがはっきりと分かれるビスクドールとして知られています。
その高い完成度によってパリの万国博覧会で銀メダルを獲得するなど輝かしい功績も残しています。