モーゼル Moserを買取ります
モーゼルはルードウィク・モーゼルによってボヘミアガラス発祥の地であるチェコ、ボヘミア地方の温泉保養地カルロヴィ・ヴァリにガラス装飾工房を設立した事でその歴史が始まりました。
設立当初はカルロヴィ・ヴァリに訪れる裕福なヨーロッパ貴族のために、品質の高い芸術性に富んだガラスを生産しており、その一方でウィーンやパリなどで行われていた権威ある産業見本市や万国博覧会に出品し、知名度を上げていきました。
その後、ペテルブルグ、ニューヨーク、ロンドン、パリなどに拠点を構えると国際的に成功を収め、フランツ・ヨゼフ皇帝の御用達として業界での地位を確固たるものにします。
モーゼルの経営をルードウィク・モーゼルの息子たちが引き継いだ後もその名声は高くなる一方で、第一次世界大戦に巻き込まれましたが、痛手を負う事もなく、大戦前の状態にすぐに立て直す事ができました。
その後も世界大恐慌、第二次世界大戦とガラス工房として幾多の危機に直面しており、第二次世界大戦中にはドイツの管理下に置かれる事となり、モーゼル一族の手から経営が離れてしまいました。
再び、自国の手に戻ったモーゼルは国有化され、チェコスロバキアのガラス工場のリーダー的存在として、他の工房を牽引し、伝統的な技法を守りながらも著名なアーティストを集め、顧客のニーズに合せた生産体制をとるようになります。
そして1991年には創業者ルードウィック・モーゼルの名前を冠した株式会社として独立し、現在も世界中の人々を魅了するガラス工芸品を作り続けています。
そんなモーゼルのガラスは、鉛を使用していない「カリ・クリスタル」を使用しており、まるで天然水晶(クリスタル)を思わせるような透明感と屈折率の高さを誇り、「森林のクリスタル」と呼ばれています。
カリ・クリスタルは高い硬度を持っているため、カッティングや彫刻には高い技量を必要としています。
モーゼルの職人はそれらの技法を熟知した者ばかりで、創業から今日まで全てハンドメイドで制作を行ってきました。
その品質と技術力の高さから、1953年のエリザベス女王戴冠式の贈り物にモーゼルのガラス製品が選ばれており、現在も他国の王室への贈り物やお祝いの品として使われています。