今回いわの美術がお買取致しましたのは、明治期木版画「義経記五条橋之図」です。
お買取した木版画は、江戸時代に確立した木版の色鮮やかな多色刷りの浮世絵である錦絵で、幕末から明治前期にかけて活躍した浮世絵師月岡芳年の作品です。
版元は同時期に錦絵の版元として有名な森本順三郎で、迫力ある仕上がりの3枚綴の木版画です。
月岡芳年は、当時、没落していく浮世絵師の多い中、最も成功した人物として「最後の浮世絵師」とも言われています。
月岡芳年は、歌川国芳の門人で、幕末期には武者絵・ 役者絵・美人画など近代浮世絵を手がけ、また一方で、残酷趣味の血まみれの無惨絵など、時代風潮を反映した作品を多く描き、「血まみれ芳年」などとも呼ばれました。
さらに、独特な描法で新聞錦絵を代表とする時事主題などに積極的に画域を広げ、多くの歴史画も制作しました。
今回お買取した月岡芳年の「義経記五条橋之図」は、弁慶と牛若丸が、五条橋で出会うという、かの有名な名場面です。京で道行く武者を次々と倒し、999本の太刀を奪った弁慶は、五条橋で見事な太刀を携え、笛を吹きつつ通る牛若丸を目にし、挑みますが、牛若丸の返り討ちにあい、それ以来、牛若丸(源義経)の家来となったという、歴史ドラマなどでも目にする有名なシーンです。
牛若のかぶっていた白布を弁慶が右足でとらえたかと思ったその瞬間、牛若丸は体を小さく丸め、橋の反対側へ飛び跳ねます。
重く大きな体の弁慶に対し、身軽な牛若丸が、自在に欄干を飛び交う様子が、月岡芳年の巧みな描写力と構図によって見事に表現されています。
動きの瞬間をストップモーションのように止めて見せる月岡芳年の技法は、卓越しており、迫力あるダイナミックな対比を表現した作品です。
買取した月岡芳年の木版画「義経記五条橋之図」は、経年の日焼けやシミ、汚れ、劣化なども少なく、額装とあわせて、骨董的価値も高い稀少な作品ということで高価買取対応にてお譲りいただきました。
いわの美術では、月岡芳年など、歌舞伎、風景、美人、春画など流行を描いた肉筆の浮世絵や、木版画浮世絵の錦絵の買取をしております。浮世絵の買取査定では、浮世絵師や版元、題材、保存状態、市場需要などにより買取評価も異なりますが、江戸時代~昭和初期の作品は骨董的価値もあり、高価買取も期待できます。浮世絵の買取なら、美術品・骨董品の知識と買取経験豊富な専門の査定士が常籍するいわの美術に是非お任せください。