お写真のお品物は斉藤真一の木版画「瞽女日記」です。
茨城県にお住まいの方からお譲りいただきました。
斎藤真一は岡山県生まれの洋画家で、岸田劉生の作風に惹かれてデッサンの勉強に励むようになりました。
その後パリに留学し、フランス、イタリアを中心にヨーロッパの風景を描き残しました。
帰国後、東北地方を旅した時に聞こえてきた津軽三味線の音色に惹かれ、その津軽三味線を演奏していた瞽女(ごぜ)という盲目の女芸人たちに出会いました。
彼女達の魅力にすっかり惹かれた斎藤は最後の高田瞽女親方・杉本キクイさんを訪ね10年間上越に通って抒情的なタッチで瞽女を描き続けました。
また、エッセイ「瞽女-盲目の旅芸人」を出版しており、ベストセラーとなっております。
斎藤の絵は表面が何度も磨かれていて、実物を間近で見ると比喩ではなく本当に発光しているように見え、赤の色にもたくさんの階調があり独特の世界観と雰囲気を作り出しています。
残念ながら、今回お買取りした作品は木版画でしたので、この発行しているように見える事はないのですが、赤色のたくさんの階調は表現されており、世界観と雰囲気は感じられるお品物でした。
額の裏の一部が破損している箇所がございましたが、外箱もあり共シール付での評価でお買取りさせて頂きました。