今回、いわの美術がお買取したお品物は、小暮真望のシルクスクリーン「夏の至仏山(ニッコウキスゲ)」です。
小暮真望はセリグラフ版画技法によって自然の風景を描きあげている版画家です。セリグラフとはシルクスクリーンの別名で、難しい技術や複雑な材質を必要とせず、あらゆる型紙からでも多色多様に製作でき、多くの芸術家に広く用いられている技法です。
小暮真望のコンセプトは、「自然の美と科学、そしてそれらの調和」としており、小暮真望のセリグラフ技法によって、さわやかな色彩と繊細なタッチで描かれた風景は、自然のもつ美しさ・雄大さを再現しています。
今回買取りさせていただきました小暮真望のシルクスクリーン作品は、「夏の至仏山(ニッコウキスゲ)」というタイトルで、ニッコウキスゲの黄色と、色彩の息吹く尾瀬の風景が見事に表現されています。小暮真望の版画作品には、 尾瀬の自然美がよく描かれていますが、その尾瀬の作品は国内だけでなく、海外でも高い評価を受けています。
今回買取りの小暮真望のシルクスクリーンには、作品下の余白に作家のサイン、タイトルと分数が記されていました。この分数シルクスクリーン作品の数量を管理する番号です。通常は分子が限定番号、分母が限定部数を表しています。この番号は、何番目に刷ったものという順番を表すものではなく、作者が同一の版から刷り上がった作品をひとつひとつ入念にチェックし、少しでも気に入らない部分があれば除外して、 最終的には、作者が納得したものだけ限定部数に数えます。分子の番号の若い方が価値があるということはなく、ナンバリングとして使われ同質のものです。
小暮真望の版画作品の題材は山、水、樹木など自然風景が多く、その精緻かつ壮大な表現力、芸術性の高さが人々を魅了し、また心を和ませます。小暮真望の作品は、「ふるさと切手」やポストカード、カレンダーなどにも起用され、また、日本版画会においては萬華賞、馬渕賞などの賞も受賞しています。