今回、いわの美術がお買取致しましたのは、「菊と富士」と題された片岡球子の木版画です。
100歳を過ぎても精力的に作品に取り組み、画壇最強ともいわれた片岡球子(物故)の生命力は、荒々しい力強い筆致と派手な色彩、そして強烈な個性をあわせもったインパクトの高いその作品を見れば納得できるかもしれません。
その型破りな構成と大胆な色使いから、一部の人々からその画風は「ゲテモノ」と評され、若いころは展覧会に落選続きで「落選の神様」と呼ばれた時期もありましたが、そんな片岡球子を励ましたのは、典雅な絵で知られる日本画家小林古径でした。
片岡球子は美しく描くことが全てではないと信じ、自身の信念に従った様々な新しい表現を試みた創作を続け、やがて従来の日本画の概念を揺るがすような力強い表現を確立しました。
大胆な構成と鮮烈な色彩による「富士」「面構(つらがまえ)」など、土着性を昇華した斬新なシリーズで、特に高い評価を受けました。
作品からすると、一見自由奔放に描いているかのようにみえる片岡球子ですが、描くにあたっては実物を自分の眼で見る、確かめるということを非常に重要視したといわれています。
様々な富士山を描いた片岡球子ですが、今回買取した「菊と富士」は、力強い線で、真っ赤に染まった富士山が何かを主張するように描かれた、躍動感や生命感にあふれた作品です。
富士の周りには激しくうねる波と空がダイナミックに、そして日本を象徴するかのような大きな黄色の菊が描かれた、片岡球子らしい型破りで大胆な構図です。
激しく大胆に使われた筆使いに、山の内部に底知れぬパワーを秘めた富士が、力強く男性的でたくましく描かれています。片岡球子ならではの富士が表現された素晴らしい作品をお買取させていただきました。
あまりにも個性的な片岡球子の画風は、その大胆な構図や、色使いが画壇に嫌煙されていましたが、自らの画風を貫き、遂には「日本画界に新風を送り、特に人物画の解釈に新生面を開いた」と認められ、日本画壇に欠かせない重鎮的作家の一人となり、103歳で亡くなるまで絵の道を突き進んだ片岡球子。
いわの美術では、そんな片岡球子の作品買取に力をいれております。
片岡球子のシリーズ「面構」「めでたき富士」「富士四題」などの木版画、肉筆画などご売却をお考えでしたら、高価買取もしているいわの美術に是非ご相談ください。