今回お買取りした中から紹介させていただくお品は、前島秀章の木彫『風のメロディ』です。
日本を代表する彫刻作家である前島秀章は、誰しもがほっこりする慈愛とユーモアに溢れた作品で知られていますが、33歳までは全く認めらなかった苦労人でもあります。
子供時代は生家の家業が傾き貧しい生活の中、12歳の時に見た藤田嗣治のデッサン『横たわる裸婦(ユキ)』に衝撃を受け、素描と水彩に明け暮れました。
16歳の時には京都の三十三間堂の1001体の千手観音の前で感動の余り涙を流し、彫刻への意欲が目覚めます。
周囲の反対を押し切って独学で木彫制作を始めますが、全く売れずフリーターとして8種の職を転々としました。
更には十二指腸潰瘍で手術をし、体力的にも精神的にも苦しみ木彫を辞めるところまで追い込まれますが、生きることの大切さや喜びに気づき、それが作品にも反映されることとなります。
それでも認められずもう諦めかけていた33歳の時、個展を開くこととなりやっと道が開けました。
苦労を重ねたからこそ、人の心の喜怒哀楽を知り、あたたかく親しみやすい木彫で人々に感動を与えます。
多くの彫刻家のように欧米の彫刻に傾倒する中、日本の伝統美が海外でも通用することを実感し、古くは縄文土器や埴輪から浮世絵まで、表現法を徹底的に研究しました。
現在も木を通して心の探求を表現した作品を発表し、人々を和ませています。
いわの美術では『風のメロディ』『小さな友情』など、前島秀章の木彫の買取りを行っておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。