ワシントン条約によって象牙の輸出入は原則的に禁止されていますが、日本国内における象牙の取引は認められています。家に眠っている象牙を買い取ってもらう場合は、どのようにすれば良いのでしょうか。今回は、象牙の登録申請方法についてご紹介します。
日本はワシントン条約に1980年に批准し、さらに野生動物の種の保存を目的とした「種の保存法(正式名:絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)」を1993年に施行しました。
種の保存法により、全形を保持した象牙の売買は原則禁止されますが、種の保存法によって規制される日以前に国内で取得した象牙については、登録申請を行うことにより、譲り渡しなど(売買など)が認められます。
全形を保持した象牙の場合、登録番号を表示した上での広告や登録票を伴う譲り渡しなどが必要です。これは業者が売る場合だけではなく、個人が業者へ売却する際や、ネットオークションによる個人売買でも同様です。
象牙の印鑑や三味線の撥(バチ)、麻雀牌など、象牙の加工品などについては、個人が売買する場合には特別な手続きを必要としません。しかし、事業者が売買する場合には、経済産業省への「特定国際種事業」の届け出が求められます。
また、加工品には「適正に取得された象牙を利用した加工品であること」を示す認定シールが添付されていることがあります。認定シールがない加工品を売買しても違法ではありませんが、偽造品や密輸入品を避けたいときは、認定シールの添付の有無を確認すると良いでしょう。
全形を保持した象牙を売買する場合、一般財団法人自然環境研究センター(以下、自然環境研究センター)への登録申請が必要です。申請書類の作成および提出後、自然環境研究センターが書類を確認し、登録票を交付します。
申請前に以下の3点を確認します。
・象牙が本物であるか
・種の保存法によって規制される日(アジアゾウは1980年11月4日、アフリカゾウは1990年1月18日)よりも前に取得されたものであるか
・全形を保持しているか
登録申請を行う場合は、以下の5つの種類を用意します。申請書類の作成方法については「象牙の登録申請要領」をご確認ください。
・登録申請書(象牙の全長と質量の記載など)
・申請する象牙の写真(カラーで鮮明な写真)
・取得経緯の自己申告書(象牙の取得時期や、誰から取得したか、取得したときの状況など)
・本人確認可能な書類の写し(運転免許証や保険証、住民票など)
・取得の経緯の裏付けとなる書類(象牙を日本に輸入した場合)
象牙の登録票を取得している場合は、取扱業者に持ち込んで買い取ってもらうことができますが、登録票の他に身分証明書の提示を求められることが一般的です。象牙は年々価値が高まっている高級品であり、密輸入品、偽造品の流通を防ぐため本人確認を行っているのです。
象牙売却の相場ですが、業者の鑑定によりその価格は大きく異なります。複数の業者に鑑定、見積もりを依頼することをおすすめします。基本的に、見積もりに関しては無料で行う業者が多くなっています。
全形を保持した象牙の売買に登録が必要なことを知らなかった、という方も多く、遺産として引き継いだ象牙を売却しようとした際にトラブルとなることも多いようです。ただし、正規のルートで入手した象牙であれば登録票を取得し、買い取ってもらうことができます。手続きなどの不明点がある場合は、取扱業者に相談してみると良いでしょう。
また、今までは国際希少野生動植物種登録証の取得に関して業者が委託申請する事ができましたので、いわの美術でも買取前提であれば取得の手続きを代行しておりましたが、2016年2月より、業者の委託申請ができなくなってしまいましたので、以前、剥製を買取ってもらった方で今後剥製を弊社に売却する事がある場合は、ご自身で登録証を取得してからのお取引となります。
ですが、登録に関してのご相談などは受け付けておりますので、是非お気軽にお問い合わせ下さい。