遺産を相続する際、相続税で頭を悩ませる方もいるのではないでしょうか。
相続するものが金銭の場合は、比較的簡単に計算することができますが、相続するものの中に美術品や骨董品が含まれる場合は、どのように価値を定めるのでしょうか。また、どのように相続税を支払うのでしょうか。
今回は、美術品や骨董品を相続するときに知っておきたい豆知識をご紹介します。
美術品や骨董品は換金することが可能なため、相続する場合は相続税がかかります。しかし、相続税には「3,000万円+(600万×法定相続人の数)」の基礎控除があるため、よほど多くの、そして高価なコレクションがない場合は相続税を支払う必要はないと考えて良いでしょう。
基礎控除額を超える美術品や骨董品を相続することは非常に稀なケースです。
相続の際、美術品や骨董品の価値はどのように定めるのでしょうか。
美術品や骨董品の価値の付け方には、大まかに4通りの方法があります。
1つ目は、「類似商品の販売価格を参考にする」、2つ目は「買取業者による同種の買取価格を参考にする」方法、3つ目は「古物商の許認可を持った鑑定士に鑑定してもらう」方法、4つ目は「購入価格を参考にする」方法です。
相続人が1人の場合は、どの方法で価値を定めてもまったく問題ありません。しかし、相続人が複数の場合「美術品を鑑定し均等に振り分ける」という話になる可能性があります。その場合、古物商などに美術品や骨董品の鑑定を依頼しなければなりません。
しかし、鑑定には費用がかかる場合があります。鑑定にかかる費用は相続人で負担することになっているため注意しておきましょう。
美術品や骨董品の価値がそれほど高くなく、相続したものの総額が基礎控除内に収まる場合は相続税を支払う必要はありません。その場合、美術品や骨董品はタンスなどの家具や家電と同じ「家財」として扱われます。相続税の申告書には、他の家財を含めた家財一式として、10万円から70万円程度を相続額の計算に入れましょう。
数十万円程度で購入した美術品や骨董品は、家財扱いになることが多いようです。
鑑定の結果、美術品や骨董品が数百万から数千万円もする高額なものだった場合、それを相続する際は基礎控除額を超える分の相続税を支払わなければなりません。
しかし、金額によっては「そんな高額な相続税は支払えない」という方もいらっしゃるでしょう。
相続税が高額で支払えない場合には、国や地方自治体が運営している美術館にその美術品や骨董品を寄附することができます。国や地方自治体が運営する美術館に美術品や骨董品を寄附した場合、寄附したものに関して相続税がかからないという特例があるため、この制度を活用しましょう。
ただしこの場合、寄附は相続税の申告書を提出する前に行わなければならないことに注意しなければなりません。
相続税が金銭で支払えない場合、物納するという方法もあります。しかし、美術品や骨董品を物納することは難しいといわれています。
なぜなら、物納には優先順位が定められているためです。優先順位が高い順に、国債や不動産、株式や社債となっており、美術品や骨董品は最も優先順位が低い「動産」として扱われています。そのため、基本的には物納が認められることはないと考えた方が良いかもしれません。
美術品や骨董品を相続するときに知っておきたい豆知識をご紹介しました。美術品や骨董品を相続する場合でも、大抵の場合は基礎控除内に収まるため大きな問題にはなりません。
しかし、高額な美術品を相続することになり、多額の相続税を支払わなければならなくなったときには、国や地方自治体が運営する美術館への寄附などを上手に利用しましょう。
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