モーニングジュエリー
mourning jewelry :哀悼のジュエリーという意味です
喪に服している最中に身に着けるジュエリーです。イギリスにおけるヴィクトリア時代、故人への哀悼と忠誠を示すためにアルバート公(1861年没)を喪ったヴィクトリア女王が着用したことから、イギリス中で流行しました。
喪に服すことは当時のイギリス社会では現代以上に重要なことであるとされ、喪に服す一定の期間の毎日の衣服はドレスから細かな装身具まで、全身を黒で統一した服装で過ごすことが常識とされていたためにジュエリーのデザインにもこうしたルールが適用されました。「喪中」ということで使ってよい色彩が少ない分、故人の髪の毛の加工にはたいへん緻密な技巧を凝らしたものや故人の髪の毛の色の美しさを最大限に引き出した細工のジュエリーが多くみられ、これが髪の毛だということがほとんどわからないほどの緊張感から美が醸し出されています。画像のブローチは糊で故人の白髪を紙のように薄く平たく固めたパーツを切り絵のように貼って勿忘草の形に仕上げた作品です。もとの注文主の故人への深い想いや、生前深く恋慕された故人だったのではないかと思わせる深みをもったモーニングジュエリーです。
モーニングジュエリー 種類
- 故人の髪の毛を編んだ部品が組まれたブローチ
- 故人への哀悼の意を表現する文章があしらわれたロケット
- 二重、三重の部品が組み合わさりモチーフ部分に故人の髪の毛を入れたり、巻き付けたりしてしまうことができる仕掛けや隠しロケットのある指輪
- 化石や古い流木が時を経て変化し、黒く変色した「ジェット」という素材を使ったアクセサリー
貴族やブルジョワ:中流階級の一般国民を中心に流行しました。
喪 追悼 センチメンタルジュエリー
センチメンタルジュエリーと呼ばれるジュエリーの中にも死を意味するモチーフとして墓・骨壺・シダレヤナギ・ドクロなどがモチーフとされました。木や象牙に彫られるか描かれるかした肖像に死者の名前と死亡日が付記されることや、ロケットの中に故人への追悼文と故人の写真が仕舞われたジュエリーも作られ、当時の人々が身に着けていました。