写真のお品物は、いわの美術でお買取りいたしました、12代酒井田柿右衛門の作品です。
有田焼の名門、酒井田柿右衛門窯に生まれ、江戸中期に途絶していた濁手(にごしで)の技法を再興したことでも知られています。
乳白色の美しさを活かした余白のある洗練された絵付けを特徴とし、芸術としての正統派の焼き物を目指しました。
いわの美術では酒井田柿右衛門12代の作品をお買取り強化しております。
12代酒井田柿右衛門は1878年に生誕し、父である11代の教えを受けながら、有田焼の絵付けに通じる南画を10代で習いました。
有田焼技術者の育成を担った有田徒弟学校(のちの有田工業学校)を卒業し、本格的な窯業に入ります。
12代柿右衛門の若年期にあたる明治前半の酒井田家では、廃藩に加えて当主の11代柿右衛門が角福銘の商標登録を巡り訴訟沙汰となったことで、家の財政は芳しくない状況が続きました。
しかし11代柿右衛門は1890年に第三回内国勧業博覧会で有功賞を、1893年のアメリカコロンブス万国博覧会で二等有功賞を受賞し、高い評価を得ます。
1912年には歌舞伎座にて11世片岡仁左衛門による歌舞伎「名工柿右衛門」が上演され、大衆に広く知られる存在となります。
1917年、11代が逝去し12代酒井田柿右衛門を襲名、1919年に実業家の小畑秀吉(おばた ひできち)とともに柿右衛門合資会社を設立しました。
これは酒井田家の財政難を脱するための発案で、出資の代わりに角福の銘の使用権を酒井田家から合資会社に譲り、12代柿右衛門と小畑氏の両名でそれぞれ作品を製作する体制をとりました。
しかし志向の相違が起き、美術品として制作したい12代柿右衛門と、商業的成功を念頭におく小畑氏は、会社設立9年目にして道を違えることとなります。
1928年に合資会社を脱退すると、以降当初契約の満期となる1969年までの41年間にわたって、小畑氏の合資会社によるもの・酒井田家のもの、二つの柿右衛門作品が並行する時代となりました。
袂を分かってからの12代柿右衛門は銘を「柿右衛門作」とし、「角福」銘は合資会社のものとなり、小畑氏の作品には「小畑秀吉」の銘が入れられることとなります。
合資会社側の柿右衛門は、大量生産を志向して作られてはいたものの、珍しいデザインが多くあり、12代柿右衛門の陶技指導により品質も保たれていました。
そのため現在の古美術市場でも一定の人気があり、正統派の酒井田柿右衛門と肩を並べる作品もあります。
合資会社は1969年の角福銘使用契約満了にともなって窯銘を仁窯(じんがま)に変更し、現在に至っています。
第二次世界大戦を乗り越えた戦後の1947年ころから、のちに13代柿右衛門となる長男とともに濁手を再現させるべく研究を始めました。
濁手は不透明の乳白色の素地で、色絵付けをより映えさせる磁器の真骨頂と言えるもので、初代酒井田柿右衛門が始祖となり、六代まで作られていました。
しかし有田焼の輸出シェアの落ち込んだ七代の時代に濁手の技法は失われ、以降200数十年の間幻の技術となっていました。
1953年、ついに復元に成功した濁手の技法は、文化財保護委員会により無形文化財として選択され、12代柿右衛門は翌年佐賀県重要無形文化財保持者に指定されます。
濁手の再現研究を重ねながら、晩年も活躍を続けた12代柿右衛門は1950年の日本貿易博覧会で優勝となり、1957年に日本伝統工芸展で文化財保護委員長賞を受賞、翌年ブリュッセル万国博覧会でグランプリを受賞しました。
1962年に勲四等瑞宝章を受章した翌年逝去し、酒井田柿右衛門の伝統は13代へ受け継がれ、現在の15代へと続いています。
職人気質であったという12代は、濁手の復興にも見て取れるように熱心に歴代酒井田柿右衛門の歴史を研究しました。
近代柿右衛門の中興の祖として、のちに人間国宝となる14代柿右衛門などに連なる名工に数えられています。
次の13代にくらべると保守的とも言え、伝統的な模様を得意とし正統派の美を大切にし、草花文・花鳥文の美しい作品を多数残しています。
濁手の復興は12代が70代となる晩年であったため、濁手が用いられた作品は制作期間が短く、とくに希少となっています
芸術作品としての作品制作を重んじた12代は、食器としての用ではなく美術品としての柿右衛門を標榜していました。
その一例として、白磁の観音像などにも逸品が多く、いずれも後代の柿右衛門にはあまり見られず、中古美術市場でも高値でのお取引が散見されます。
11代から15代酒井田柿右衛門についてはコチラをご覧ください。
いわの美術では、骨董品・美術品を中心に幅広く多数のお買取りをおこなっております。
人気の骨董陶磁器の代表格である酒井田柿右衛門作品も多数のお買取り実績があり、正統的な美を称える12代柿右衛門のお買取りを強化しております。
専門知識を備える査定員が拝見し、中古美術市場の需給を鑑みた最高値にてお買取りできますよう尽力しております。
12代酒井田柿右衛門の作品をご売却の際には、以下の点がポイントとなります。
・作品のダメージの有無
・作品の大きさ、図柄、などの内容
・共箱の有無
・箱の書付
・栞、保証書など
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