ドイツは、中世以後、独立した領邦国家に分かれていたため、叙勲などの栄典制度も各領邦ごとに定められていました。
1871年にプロイセンを中心に成立したドイツの統一国家であったドイツ帝国は、連邦国家であったため、ドイツ帝国の勲章は存在しませんでした。ドイツ帝国は、第一次世界大戦を引き起こし、その敗北によって消滅しました。
ワイマール共和国時代(1919年~1933年)には、憲法により勲章の授受を禁止していましたが、その後、ヒトラーが政権をとると、1933年に勲章法を制定し、勲章を多数授与しました。
第二次世界後、ヒトラーに対する批判から、勲章制度も凍結されていましたが、1951年、テオドア・ホイス大統領が、国家と国民の結びつきを強め、国家モラルの高揚に資するものとして、勲章制度を再開しました。
4度の制度改正を経て、1966年以降、現行制度であるドイツ連邦共和国功労勲章は、以下の等級に分かれています。
特等大十字章
特装大十字章
大十字章
大功労十字星大綬章
大功労十字星章
大功労十字章
一等功労十字章
功労十字小綬章
功労メダル
授与権者は、連邦大統領で、年間の授与件数は6000~7000件で、最上位の特等大十字章は、国家元首である大統領のみが勲記を受けずに受章・着装します。
第二次世界大戦前のイタリアは王政であり、多数の勲章がありました。
騎士団勲章としては、1362年サヴォイア伯国の君主アメデーオ6世サヴォイアによって創設された修道騎士団を源流とする「最も神聖なるアヌンツィアータ勲章」や、1572年に成立した修道騎士団を源流とする「聖マウリッツィオ・ラザロ勲章」などがあります。
現在のイタリアの栄典制度であるイタリア共和国功労勲章は、1946年に共和国となった後、1951年に法律により、既存の勲章制度が廃止され、制定されたものです。
イタリア共和国功労勲章の授与権者は大統領で、6月2日の共和国建国記念日と12月27日の共和国憲法発布記念日の年2回授与されます。
勲章は、以下の6階級がありますが、最高位のカヴァリエーレ・ディ・グラン・クローチェ・デコラート・ディ・グラン・コルドーネの受勲者は、大統領および大統領経験者であるため、上から2番目のカヴァリエーレ・ディ・グラン・クローチェが実質的な最高位となっています。
カヴァリエーレ・ディ・グラン・クローチェ・デコラート・ディ・グラン・コルドーネ(大頸飾章)
カヴァリエーレ・ディ・グラン・クローチェ
グランデ・ウッフィチャーレ
コンメンダトーレ
ウッフィチャーレ
カヴァリエーレ
イタリア人だけでなく、外国人であっても、科学、文学、芸術、経済、社会・慈善活動、軍務、公務などにおいて貢献した者が受勲対象となっています。
最高位の大頸飾章は、実際の運用では国家元相にのみ授与されています。