作家名:勝平得之 作品名:『かまど』
(技法:木版画)
勝平得之は秋田県を代表する版画家で終生秋田から離れることなく、題材のすべてに秋田の風土・風俗を豊かな情景で描きました。
素朴で温かみを感じる作風で、独自の技法で生み出された色鮮やかな色彩は勝平独特です。
秋田県内各地の祭りや名勝地を訪れ、綿密な取材を重ね描かれた版画に描かれた人々の顔には穏やかな表情が浮かび、柔らかな空気を纏います。
また、彫刻家・木村五郎へ師事したのと同時期に素朴な色と形を特徴とした木彫りの秋田の風俗人形も制作しています。
秋田県を代表する版画家 勝平得之(本名:徳治)は1904年に秋田県秋田市の紙漉や左官を家業とする家に生まれました。
幼少期から絵を描くことが好きだった勝平は、家業の手伝いをする傍ら農民美術運動の木彫講習がきっかけで20歳のときに独学で浮世絵版画を学び始めます。竹久夢二の絵に魅せられた得之は、色摺版画の研究を重ね独自の彩色木版画の技法を考案し、画号を得之と改めます。
この色摺版画とは、単色ではなく複数色の色を用いて色鮮やかに摺られた版画のことで、 「下絵を描く」、「版木を彫る」、「色をのせて摺る」という3工程を通常分業で1つの作品を仕上げますが、勝平はこれらの工程全てを一人で行っていました。
また色摺版画では色ごとに異なる版画を用意し、何度かに分けて一枚の紙に重ねて摺り上げることでひとつの版画が完成します。
勝平の郷土秋田への想いは強く、その作品は一貫して秋田の自然や風俗をテーマに制作されています。
1929年に日本創作版画協会展で「外濠夜景」が初入選、木村五郎に師事しました。3年後には帝展で「雪国の市場」が初入選を果たし、以来数多くの誉れ高い美術展で受賞を重ね国内で高く評価されるようになります。
また、ドイツの建築家であるブルーノ・タウトとの出会いをきっかけに海外でも名を知られるようになり、フランス国立美術館であるルーブル美術館にも作品を出品しています。1956年には日展委嘱、無鑑査となり秋田県文化功労章を受章するなどその実績が認められました。
代表作には「秋田十二景」「秋田風俗十態」「米作四題」などがあげられ徹底的な取材に基づいて描かれた勝平の作品は各地の風土を知る上でも重要とされ、美術的価値だけでなく資料的価値を見出されています。
秋田の風俗をテーマに描き続けた勝平は版画の他にも秋田風俗人形の制作もしていました。
勝平の作品の中では、冬の雪など季節の風物が題材になっている作品が中古市場で得に人気があります。
また状態の良し悪しも査定を行う上で重要なポイントとなります。シミ、焼け、破れなどは評価を下げる要因となります。高温多湿を避け、大事に保管なさってください。
弊社では勝平得之以外の作家の版画も積極的にお買取り致しております。
作家名や作品名がわからない場合は「大きさ、エディションナンバー(隅の方に分数で表記)、状態、裏面、額装」などがわかるようなお写真を撮っていただき、メールやLINEまたは郵便で送って頂ければこちらでお調べいたします。
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