ピーター・エレンショウについて

1913年にイギリスに生まれたピーター・エレンショウは風景画家として活躍し、後に映画アートディレクター、特殊効果アーティストなど映画界でその名が大きく知られるようになります。

70年間以上に渡るキャリアの中でウォルト・ディズニー作品の制作に携わり貢献したピーターは、ディズニーの歴史にその名を刻む伝説的な存在として称えるウォルト・ディズニー・カンパニーが創設した賞『ディズニー・レジェンド』の称号を与えられています。また、1964年には映画『メリー・ポピンズ』でアカデミー賞最優秀視覚効果賞を受賞するなどその技術力は高く評価されています。

20代初めにイギリス映画界で最も名の知れた特殊効果アーティストでありマットペインターであったウォルター・パーシー・デイと出会い、彼のアシスタントとしてキャリアをスタートしました。

マットペイント（透明ガラスに人物や風景などを描き、カメラの前にかざして撮影することで架空の世界に現実感をもたせる効果がある映画特殊撮影技法の一種）を描く人をマットペインターと呼びます。

この特殊撮影技法で腕を磨き『バグダッドの盗賊』から始まり数々の作品を手がけたピーターは、第二次世界大戦で王立空軍のパイロットを務め、軍役を終えた後再び映画業界へと戻りました

1947年にディズニー初の実写映画である『宝島』や『海底2万マイル』などの制作プロジェクトに参加して以降30年以上に渡り30本以上のディズニー映画制作に携わりました。

1953年にピーターは家族と共にカリフォルニアに引っ越し、ディズニー映画の制作に本格的に参加することとなります。

数々の映像制作に携わりマットの名人と称される程に成長したピーターは最初の仕事として、ウォルト・ディズニー・スタジオから「ディズニーランド」の完成予想図の制作を依頼されました。苦心の末に完成させたディズニーパーク予想図を片手にウォルト・ディズニーがスポンサーの獲得に乗り出し、無事「ディズニーランド」は予想図通りの姿で無事開園にこぎつきました。

因みにこの予想図は東京ディズニーランドのディズニーギャラリーに展示されています。

ディズニーランド構想の一大事業を成し遂げたピーターは、実写映画『メリーポピンズ』でアカデミー賞を受賞、その後も3回アカデミー賞にノミネートされるなどこれまでの功績が称えられ『ディズニーレジェンド』の称号が授与されました。

 また、50歳を越えてからは海の風景を好んで描き1970年からは妻と共にアイルランドに引っ越し魅力的な作品を数多く生み出しました。

ピーターの描いた険しいアイルランドの海岸風景や美しい島々の風景は高い評価を受け、アメリカ大使館で特別展示されています。

数多くの作品を手がけたピーターは、中でもイギリスの田園風景をこよなく愛していたことからイギリス生まれの作品である「くまのプーさん」には並々ならぬ愛着をもっていたようです。

作中に登場する100エーカーの森はまさにピーターの愛する田園風景そのもので、優しいタッチの「くまのプーさん」シリーズはピーターの代表的な作品のひとつとして知られています。

ディズニーレジェンドに認定されたピーター・エレンショウの作品は現在の中古市場でも高い人気を誇るため、いわの美術ではお買取りを強化いたしております。