こちらは以前いわの美術でお買取りしました、船舶の竣工記念品、号鐘です。2点のうち古いものは1930年、現在は引退し神奈川県横浜のみなとみらい地区に展示されている、練習船の帆船日本丸の進水を記念したものです。1981年は3代目大成丸で、いずれも独立行政法人海技教育機構(旧航海訓練所)の保有する船舶です。
昭和初期には商船などの船員を養成するための東京高等商船学校(現在の東京海洋大学海洋工学部)と神戸高等商船学校にはそれぞれ専属の練習船大成丸・進徳丸がありましたが、函館をはじめ他の11の公立商船学校には総トン数1000以下の練習船しかなく、海難事故が多発する状況でした。これを解消すべく、共通の大型練習船として建造されたのが、日本丸と姉妹船の海王丸でした。
日本丸の航海した54年間は激動の時代であり、ほかの練習船とは異なる歴史を持つこととなります。竣工した年から遠洋航海に出かけ多くの商船船員の育成を助けましたが、1941年に太平洋戦争に突入すると外洋航海は制限され、緊急物資輸送の任務と並行しながら練習を続けました。
やがて1945年の終戦を迎えると、今度はアジア各地に残された600から700万人にも登る日本人のうち2万人を帰還させ、1951年サンフランシスコ平和条約調印がされると、外地へ出かけ遺骨収集・慰霊碑の建立などの作業に精力的に従事しました。
1953年に戦後初めて外洋航海でハワイ島に向かい、以降アメリカ・カナダ等へ多数航海します。1960年には日米修好通商100年記念航海に出かけます。写真の号鐘のうち日本丸のものは、1976年に行われたアメリカ建国200周年祭に参加した際の記念品です。日本丸は引退の直前まで遠洋航海し、1984年に神奈川県横浜市の横浜船渠第一号ドック(国指定重要文化財)に係留保存にされ現在に至ります。
写真のお品は2点共に実際に船舶内で使用されたものではなく、竣工を記念しての1/3と1/4スケールの贈答用のものです。経年のわりに保存状態がよく錆びや変色も少なく、高価でのお買取りとなりました。船舶に関する記念品としての号鐘は非売品のため、希少品としてコレクターから人気があります。いわの美術では、美術品骨董品の他このような記念品もお買取りしております。ご自宅にご売却をお考えのお品がありましたら、ぜひ、いわの美術へご連絡くださいませ。